第121話12月27日ゆっくりゆっくりと人生を柔らかく着地できるように 整備しながら の予定だった
なかなか大変なのは 母の身体状況のみならずメンタルで やはり人が 訪問してくれないととても辛い様子
ただこればかりはどうにもしてあげることができない
いろんな人にお見舞いに行ってあげてと言うんだけどあまり催促するのもおかしいし
俺にも行ける限度と言うか限界があって これ以上はさすがに経済的にも体力的にも持たない というレベルに来ている
そういう 訪問客の スケジュールをノートに書いて指折りまったり数えたりしているのは少々偏執的で
精神安定の面で 怖さを感じる部分でもある
半分冗談なのか本気なのかわからない皮肉なのかもしれないけれども
もう俺が一週間も 来てくれないとかほとんど来てくれないみたいなことを口走る
訪問者がいる時にそんなことを言われてしまうので俺の立場がどんどんなくなっていく
まあそれはいいとして その口ぶりがね
認知症に近いものを感じてしまい すごく不安になる
むしろ ほぼ毎日 顔を出しているんだけど 年末年始
弟たちが来る2、3日顔を出さないよと言ったことがそういった発言につながったことはよくわかる
とは言えちょっと言うことが極端であったり冗談めかして言ってない部分があったり
まるで本気かのように聞こえてしまうので かなり 不安が 大きくなってしまう
その夜も突然電話をしてきて この前まで持ってきてた映画の DVDを持って帰ってしまったのかとちょっと怒り気味で聞いてくるのだけれども
それはつい先日 新しい DVD を持っていた時に
もう持って帰っていいよといったものだったりする
それを告げてもそんなことはないと怒るし
その後電話をしたまま DVD を探しているかのような音が する
そして無言
おそらく本当に探しているんだろう
ゴソゴソという音がする
話しかけても言葉は帰らず 仕方ないので1回電話を切る
するとかけ直されることもなくその日の電話は終了
あれだけ電話で話すことにこだわっているのに その DVD がないということへの 固執というのが あまりにも振り幅が大きくて 怖くなってしまう
物を忘れているのか理解力が低下しているのか単純に皮肉がましくものを言っているのかその辺りが分からない
皮肉がましく当てつけがましく何か言ったりやったりしているレベルであれば それはまあ全然構わないんだけども
理解力が低下していたりね
やったことを忘れていたりというのであれば それはもう本当にそのまま認知症だものね
いよいよかなという思いもある
今後のしかかってくる認知症の母の世話をすることが嫌なわけではないし
最初からそれは来るべき時として覚悟してはいるが
こういう事態になってからそれが引き金となってというのは さすがに戸惑ってしまうし大きな負担にでもある
ゆっくりとね
母と二人で準備をしながら 家の改装改修をして
外回り 色んな人間関係だとか団体関係とかを少しずつ整理して
ゆっくりゆっくりと人生を柔らかく着地できるように 整備しながら の予定だったんだけど
いきなり全部持ってかれて その上認知症突入ではね
さすがに 唖然としてしまうよね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます