第120話12月26日がんばれば乗り越えられると言われても

心療内科に行ってくる

やはりたいした効果はなかったようです

まあ本人が どこまで納得するかという話でもあるので

心療内科に行ってもあまり解決しないということが分かっただけで多少なりと選択肢が減ってスッキリしたみたいで

それについてはよかった


まだなかなか歩けていない様子を見ていると しんどい

外出ができないことになったことも大きい

相変わらず指折りで訪問客ばかりを探している

その辺りの偏執的な精神状態の方が怖い

実際のところ 認知症や寝たきりへの秒読みは加速しており

その時期をどれぐらい伸ばせるかと言うのが現状

まあ 8割回復して帰ってくれば上出来

その後何ができるのか

一変する生活がどうなっていくのかを 考えると憂鬱


それにしても 心療内科の先生というのも難しいところで

誰にでも言えるような 薄っぺらい ことをつらつらと話して

それで終わりだもんな

というと悪意がある

その先生をオトしめる気はない

母の訴えとそれに対する対処が結果的にそう成らざるを得なかったのもわかる

とはいえ

何をどう誘導したいかが見えすぎちゃっているだけに

聞いててもイライラする

母も同様イライラしたようで早く帰りたかったということ

十分認識していることを説教じみてしたり顔で並べたてられ

がんばって乗り切れる状態ですよ、乗り切りましょうねって言われてもね

難しいとこですよ

よくあることだとしても、誰かと比べて軽い方だとしても

がんばれば乗り越えられると言われても

本人にとってはそういうことじゃないわけでね

そもそもがんばった結果、こうなったわけでね

特に俺などは

がんばる

という言葉がトラウマになって言葉にできないくらいなんだよね

それでもがんばらなきゃいけないしそれは分かっているし

全部分かってるんだ

母も俺も

その上での精神不安

この精神不安がたとえば認知症であったり精神病であったりに発展しないためにはどうすればいいか

それが大事でしょうと

死にたいといってやってくる患者もいる

あなたはそこまでじゃないとかさ

だから

死にたいと言い始めないために今なにができるのということだよね


現状を受け入れて日々回復することを喜んで

生きていることに感謝して日々楽しいことを探して

そうなるようにがんばりなさい

あなたのもやもやは甘えだよ


そんなことは分かっているし

飲み屋のオバちゃんでもそんなことは言えるんだよ


と思うことはひねくれてるのだろうか

ありがたいことを聞いた

そうだね毎日を楽しまなきゃね

体半分動かないけど

これまでの生きがいほとんどなくしたけど

これからは身の回りのことだけやって生きていかなきゃならないかもだけど

その中から浅ましく楽しいことを

目を見開いて漁ることを仕事にすればいいんだ

よし、がんばろう


と思うことが正解なのだとしたら

僕ら二人は間違いの人生を生きてきたのだろうが

そんなことはないと思っているから

否定をするならちゃんと否定しなさい

適当なそれっぽい言葉で飾り立てずに


とか思うことがひねくれてるんだろうかね

知らんよそんなこと

どうでもいい

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