第118話12月24日100均のハンコ


病院。

リハビリを見る

かなり歩けるようになったというえまだまだ

よたよたと 足の運びが かなり意識しないと出ない

意識しすぎると緊張してしまうのか余計形が崩れる

そんな中リハビリの先生を良くしてくれて非常に厳しく リハビリをしてくれる

一方で母はかなりメンタルが やられてきているらしく 心療内科に行きたいと言い始めた

最初は日が合わないからと諦めていたのだけれど 夜になって予約が取れたと 電話が来た

予約日が明後日の11時半ということで 俺は同行が非常に難しい状態 なのだけど家族がいなければ受診できないかもということで何とかならないかというお願い

現実的には無理

人手が足りない年末でかなりパンパンに入ってしまっているのでその時間に抜けるというのは極めて難しい

11時半というのは仕事に行くための準備をする時間で

そこを取られてしまうと食事も何もできなくなってしまう

心療内科から直で職場に向かったとしても そういった準備ができない

着替えもできないという状況でどうすればいいのかと思う

そもそもそこまで誰が連れて行くのか、と問うと

母の教え子の一家が何とかしてくれるようなのだけれども

そこから俺の職場まで運んでもらったりそういった世話までお願いすることはできない

そこまでお願いしてしまうと

俺の気持ちとしてはさすがに恐縮を通り越して なけなしの自尊心さえなくなってしまう

何もかもお世話になってしまう

困った時お互い様とは言え そこまで引きずりまわして

本当に俺は何なんだろうかと思ってしまうよね

ただただ母の家族、家の長男というポジションが必要なだけであって

俺という人間がどれほど必要なのかということになってくる

別に俺じゃなくても弟であっても他の人であっても

その場にいて問診を一緒に受けてくれるさえすればいいわけで

そんなことが多いと さすがに俺の方がメンタルが辛くなってくる

どうしようかなと思う

何とかしてあげたいとは思うんだけれどもいくらなんでも日が近すぎる

と言うとじゃあ心療内科にかかれないということなんだねと

まるで脅しのようなことを言ってくる

気持ちはすごくわかるし何とかしてあげたいけれども

さすがに二日前、実質1日前では無理だ

なんとか、とは思うんだけれど

ただでさえ疲労困憊で風邪気味な中、

ここで更に悩み事を抱えてしまうと、頭がクラクラする

年末年始の外泊の件も控えている

現実的なことを言うと俺が潰れてしまっても

半端に生き残りさえしなければ

簡単に言えば死んでしまえば

あとは弟たちが しっかり面倒を見てくれるでしょう

俺よりもちゃんと生活をしている人たちなのでそっちの方が実際は幸福なんだろう

弟たちの住む土地に移ることになるけれどもね

ここにいてお金のないまま

これまでとは違う、これまで通りの生活が何一つ送れないのであれば

同じようにこれまで通りの生活ではないけれども十分によく見てもらえる、なんなら日々ずっと一緒にいてくれるかもしれない弟たちのところに行ったほうが幸福ではあるのだろう

もちろんずっと一緒に暮らしてきたので俺が突然いなくなったという状況で多少のパニックはあるだろうし心労もあるかもしれないけれども

この何もできない俺といたところで 帰って苦しめるだけなのも事実

なんてことを言うとこちらが脅してるようなことになってしまうので絶対に言わない

母にしてみたら

もちろん俺が俺としていてくれるということがとても嬉しいと思ってくれるのだろうと それぐらいは わかるのだけれども

それは話し相手であるとか 生活を楽しく一緒に過ごす相手というレベルでしかなく

実質母をしっかり面倒を見てくれているのは教え子たちであり

誰の目から見ても、しっかりとした家庭を持って母のもとに馳せ参じる弟夫婦の方が しっかりとした人間達であり

俺はその周りでぼんやりハンコを押しているだけなんだよ

それだけが俺の存在価値 になっている


無理をしてでもその心療内科に付き合ってやるべきなんだけど

さすがにつらいですよ

ただ俺がいなければ 受診できないからいてくれというだけであって

本当に100均のハンコと同じレベルの扱いなのは

それもふまえて

ただでさえシフトが変えられない状況でそこをゴリ押しして変えてまで行くというのは

ものすごく気分的に辛い

辛いのだけどそれ以上に思うのはこれから先ずっとこういう思いが続くのだという現実

つらいよね

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