第89話11月30日今度はねじ伏せなきゃいけない現実側に母がいる

今日は 手話団体の練習日

朝から準備をする

チラシを見たというお客さんも来た

少ない人数かなと思ったけれど10人近く集まった

熱のこもった 練習

小学生から高校生まで幅広く 集まる

これが母が作ってきた団体、信頼

途切れさせたくないので頑張る

練習をしている間は それなりに楽しい

楽しいというよりも現実から逃げているといった感じ

練習が終わって しばらくおしゃべりをして 片付けをして 誰もいなくなる と 突然 空虚感

へたり込みそうになる

こんなにいろんなことがあって面白いことになりそうなのに 母がいない

あんたがいないと 意味がないだろ

その後買い出しに行く

壊れかけている仕事用の靴を探す

冬支度の セーターも見たい

その辺りのものを 買っておかないと 必要になったときに間に合わないかもしれない

今週は 食材を使い尽くしているので食べ物の買い物もしておきたい

電動自転車で走る

いかんせん どの道もどの店も 母と行きつくした場所なので 悉くが トラウマになっている

そうなることは予想して母と暮らしていたのではあるけれど

あまりにも唐突すぎて 準備が心の準備が何一つできていなかった

蛍光灯を買おうと思ったんだけれど サイズを書いたメモを忘れてきたので一旦帰る

確認してから近くのドラッグストアーで購入

リサイクル屋で買うと100円だったのでちょっと自分のつめのあまさに 呆れてしまう

その後はいろんな文章をまとめイベント用の画像を整える

そんなことをしているうちに 寝てしまう

母の愛猫がゆっくりと入ってきたのでお腹の上に乗せる

土曜日の夜が長い

母から電話がある

30分ぐらいかな

話す

いろんなことを話して楽しい

それでもずっと好きだったスポーツ観戦の話だけは 意識的に避けている

それが何よりも悲しい

今日遊びに来てくれた人や 病院で知り合った人 明日訪問する予定の人の話を楽しそうにしてくれるので ほっとする

毎日でも行きたいのだけれども

いよいよ俺の体力も尽きてしまっているので 今後の事を考えると少し自粛しなきゃ

この時点で結構なボロボロ具合の俺

母が早く帰ってこないかなと 思っている一方で 帰ってきた後俺はどこまで やれるのかと思うと 不安

というよりも 怖い

頑張ろう頑張ろうという気持ちもあるけれど

現実的には 仕事があり 体力の限界があり 現実と向き合わなきゃいけない精神力があり その中で母と向き合わなくてはいけない

これまでは 母と一緒にねじ伏せてきた現実

今度はねじ伏せなきゃいけない現実側に母がいる

介護でも何でもしてあげる

そんなことは全然いいんだ

お金がなかったり その辺のことだよな

ぶっちゃけてしまうと

今からひと月後ふた月後

どうなっているのだろう

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