第70話11月23日あなたがいないから困っているなんて声はきこえてこない
母、転院直前でかなりナーバス
食事もあまり受け付けない
リハビリ病院が遠いため俺がなかなか顔を出せないことが原因
それは俺も同じで、気持ちが沈みがち
一方で病院に行くという行為が否応なく現実を教えてくるため、その重さに目を伏せさせてくれることには、正直ほっとしてしまっている
最低だなとうなだれつつ
限界をこえてどうにかなる前に
多少なりと精神を休ませてくれるなら
とも思う
いよいよ心身ともにギリギリになってきた俺たち
楽しみながらリハビリしていこう
という発想はよくわかるけれども
楽しませようとする俺に母が付き合うことになる
何をどんなに言ってもさ
積み上げてきたもののほとんどがゼロになった場所に帰らなければならない母を思うとすべてが空虚
そういうことに拘るなといわれるかもしれない
でもさ、惨めなんだよ
人の何倍も頑張って
その過労で倒れて
役職もポジションもなくなって
でも何一つ変わらず現場はうごいている
あなたがいないから困っているなんて声はきこえてこない
なんのための過労だったんだろうね
それらを全部忘れてしまうと
ほんとに何をしてきたのか
わかってくれとはいわない
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