第63話器の小さい自分を省みる

11月19日

母は強いなぁと思う

色々なお見舞いの人たちが 色々と励ましてくれるのだけれど

聞きたくないだろう話題をする人もいる

男性は左の方に麻痺がでるから復帰後車を運転することができた人もいるなんて言われても 右が麻痺してる母にとって辛いだけ

いくどもいくども 体力的に続けられないから役を代わってくれないかという申し出をしても交代をしなかった 役員会 の人が

これを機にゆっくり休めばいいよと

頑張りすぎたんだよと いくら励ましてくれても

それならばなぜその時に変わってくれなかったのかと 叫びたいだろうし

楽しませようとしてくれてるんだとわかるけれども

母が本来であればやっているべき様々な活動奉仕活動やボランティアの話をとうとうとされても

そこにいるべきだった自分がベッドの上にいるその苦しみをなぎ払ってはやれない

聞いていて 俺などは少しキレかけてしまう時もある

あまりにも無神経で独善的で

それなのに母はニコニコと聞いている

お見舞いに来てくれたことがうれしいというのもあるだろうし

わざわざ怒るのもしんどいというのもあるだろう

それでもそれに対して ちゃんと対応している

病床にありながら 体の半分がなくなった 状態でありながら

お客さんに対しては 優しくちゃんとした接客をしようとする

それを強さというのは多分間違いで

それを跳ね返してしまうことこそ強さなんだろうと思うけれど

それができない 母が あまりにも可哀想で

それでもこの状態で 訪れてきた お客さん第一に接客をする強さというのは

やはりすごいことなのかなとも思う

そんな話じゃなく 楽しいことを つらつらと喋ればいいのに

それができる連中であれば 母のストレスも過労もなく こういう事態も 回避できたかもしれないと思ってしまう

どうなんだろうか

それはあまりにもひねくれた曲がった考えなのだろうか

それとも聞きたくもないだろう 話を

自分が参加していたはずの話を

延々と聞かされる母の身になって腹を立てることがおかしいのだろうか

答えはないんだろうなと 思いながら

ただただ器の小さい自分を省みる

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