No.039 価値観のチガイ
京ダン高の事をルークに聞いた時はおかしいと思った。
それはルークの考え方が、だ。
ルークは「大罪を犯した罪人は神の使徒の手によって断罪された」と言って話を閉じたんだ。
それは神の使徒を信じる言い方で、テラが神の使徒かと聞かれたら僕は
驚きだったのは9位が吸血鬼だった、という事。
だからテラは陰法と聞いて知っていたんだろう。
よし、今の話をしよう。
伏見稲荷大社横 ダンジョン
~~最終階層~~
そこは“和”な神殿で1本の武器、刀が刺さっている。
さながら聖剣て感じで抜いた人が勇者だーって感じの置かれたか。
「誰から行く?」
ルークが先頭で歩いていたから振り向いて声をかける。
僕たちの中で武器を持って戦うけど、丁度いい武器を持っていないのは1人だけ。
姫山だけが武器を持っていないのだ。
「俺がやりたい」
案の定、姫山が立候補をした。
刀の前までいき手をかける。
そして、
「フンッ!」
力いっぱい抜こうとしたようだが結果は抜けずじまい。
姫山ではダメ、という事だろう。
「これがあれば」
そんな事を口にしているが、僕の事を倒そうとでもしてるのかな?
さて、次は誰が挑戦するだろう?
僕は一応『黒夜叉』があるから要らないけど……やってみよっかな。
「僕もやっていい?」
「どうぞどうぞ」
僕は刀の前まで移動して手をかける。
そして力いっぱい引き抜こうとするがびくともしない。
「無理でした」
それから皆挑戦したが、結局誰1人として抜けなかった。
「最後にもう一度」
と思って抜こうとするがやっぱりびくともしない。
なら、
「強化陰法 オーガパワー」
小声で陰法を使い力を強くするがやっぱりびくともしなかった。
「はぁ」
残念、と諦めようと刀に寄りかかると、
ガコンッ
一瞬刀が下に下がり次の瞬間には簡単に、
「抜けた」
抜けてしまった。
嬉しい気持ちと、仕掛けがあったという複雑な気持ちが入り交じっている。
「それ――――」
「――――皆が挑戦して誰も抜けてないから鬼灯くんが貰っていいんじゃない?」
姫山がなにか言おうとしてたのを遮って、テラが僕に提案する。
他の皆(姫山以外)もそれでいいって顔をしているから貰うことにした。
姫山はいいのかって?
だって僕が抜いたし、皆が挑戦し終わった後だからね。
※
僕たちは伏見稲荷大社横 ダンジョンを攻略し、修学旅行が終了。
ダンジョン専門国立高等学校、通称「ダン高」に帰ってきた。
このダンジョン攻略の功績は、全員の功績という事で
なぜここで決着させたになるかはダンジョン攻略が終わってからすぐまで遡る。
ダンジョン攻略が終わって皆で報告しに行こうとした時、
「ちょっと待ってくれ。最後のボスを倒したのは俺だ。だから、このダンジョン攻略者は俺だから君たちは帰ってていいよ」
姫山はそんな事を言い出したのだ。
それが、さも当然かのように。
「姫山くん、それは流石に。ね?」
「なんで? 俺が倒した事には変わりない。なら俺がダンジョン攻略者としてなんの問題がある」
「なら―――――」
「―――――それに、だ。鬼灯、ダンジョン報酬を渡してくれ。俺がダンジョン攻略者だからな」
ルークの言葉を無視してヘイトは僕に向いていた。
皆、「こいつ何言ってんだ?」って顔をしている。
それほど横暴すぎると言うものだ。
「姫山、流石にそれはよく――――」
「――――口答えするな。早くしてくれ。俺は報告をしに行きたいんだ」
胸ぐらを掴んで睨んでくる。
身長差で僕が低いから軽く足が浮いてしまうのはしょうがない。
「わかった」
僕は特に未練もない刀を魔法収納袋から出して姫山に渡す。
もちろん皆は驚いたような顔をしている……なんで?
「あぁ、素直で助かるよ」
それだけ言い残して姫山は先生の所に行ってしまった。
「宝具 断罪の剣」
テラが動き出して姫山の前に移動する。
「君は罪を犯した」
「邪魔だ」
今の姫山にはダンジョン報酬という武器があるから強気なのか、刀を引き抜いてテラに斬りかかる。
それを、わざとらしくギリギリで避けるテラ。
いやー、それにしても武器のおかげなのか凄い早い太刀筋で姫山にはあの武器があっているっぽい。
「その武器、結構君に合ってるみたいだね。えいっ」
テラはおかしな早さで姫山の体に触れると姫山は動かなくなった。
この流れは最近聞いたことがあるし、姫山は1度殺されたかけたあれみたいだ。
「ダンジョン法 第1条 24項違犯。あっ、口だけは動けるようにしとこうか」
「何をした、こんな事をしていいと思ってるのか!」
「ダンジョン攻略においてボスを倒した倒してないは関係なく、ボス部屋に入った人たち仲間という扱いになる」
「だからなんだよ。早く解放しろ」
「君は、さ。罪を認めず傷を負ったじゃん?」
「それはお前がやったからだろ」
「そうだけど、それで君は途中までダンジョン攻略に参加してない。そして最後のボスは一緒に戦いたいって言うから入れてもらった。違う?」
「あぁ、お前らだけじゃ勝てないと思ったから入ってやったんだよ」
こんな事なら僕がボスを一撃の下に沈めるべきだったかな。
それにしても反省しなさすぎでしょ。
「まぁ、ダンジョン法の違犯だから……それじゃあ」
「まて、死ぬ事で償うのは違くないか?」
「だから? 僕は断罪者、罪深き罪人に聖なる裁きを下す者。聖なる裁き=死。それ以下でもそれ以上でもない」
「そ、それは理不……」
「静かにね?」
南条が止めようと声をあげたが結果は金縛
り。
「一応他の皆もね」
その言葉を切っ掛けに僕は体の自由が効かなくなっていた。
声も出せないし、自分の血を流すことすら出来ない。
「さぁ、罪を認めない愚かなる罪人に聖なる裁きを。えいっ」
「えいっ」は変わらないらしい。
テラは姫山の胸を、心臓を一突きで姫山は倒れ込んだ。
「後1分だね」
テラは姫山が死ぬのに1分という時間だと言った。
体をどうにかして動かせないか試すがどうにもならない。
「鬼灯? あんまり変な事はしないでよ」
テラは僕が動こうとしているのに気がついたようだ。
口だけ動かして「きゅうけつきさん」と言っている。
なにか、なのか打開策を。
これ以上テラに殺人をさせる訳にはいかない。
殺人は、人を殺すことは強くなることと同義だから……テラを止められなくなってしまう。
いや、考え方を変えよう。
相手が強くなるならこっちも強くなればいい。
丁度ドリーさんを殺そうとしている
吸血鬼狩り……悪くないな。
そんな事を考えていると、テラに1つの影が近づいていた。
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