No.020 事件のシンソウ
目が覚める、というより意識が覚めた。
目はまだ眠くて開けられないがなんか暖かい。
人肌を感じるというか……これって不味くね。
ゆっくりと目を開けると和紗の僕は抱き枕状態だった。
寝てるのはずなのに、どこにそんな力があるのかわからないが、物凄い抱きつく力が強く逃げることが出来ない。
いや、嬉しいんだよ。
嬉しいんだけど、僕の見えない所から凄い視線を感じると言いますか、ね。
僕の予想だと、コアルさんが朝から訓練をするから迎えに来るって言ってたんだよ。
「コアルさん、ごめんなさい。助けて」
小声で助けを求めるが、
「そのくらい自分でどうにかしましょう。制限時間を
もぞもぞと動いて腕から解放されようと動いた訳だが、うまくいかずに僕の首を絞めることになる。
そのまま僕の意識は遠く遠くに行ってしまう。
※
目が覚めたのは昼頃で、なぜかコアルさんと和紗と保健の……理事長の宮内先生は楽しそうに話している。
「あのー、なんで楽しそうにしているんですか?」
ここ僕の部屋だよ、一応。
「ふむ、制限時間内に抜けれなかったから罰を与えたまでだ」
「コアルさん、僕まだ罰を与えられてませんけど?」
「そんな事はないぞ」
コアルさんの手に持つスマホには動画が流れている。
それも、僕が目が覚めてから抜け出そうとして、落ちるまで。
そうか、罰ってそれを見られる事なのか。
「なにか勘違いをしていませんか?」
「えっと、どういう事?」
「私は、鬼灯と仲がいい1人の生徒にこの動画を送りつけました。それと、さっき手に入れた鬼灯が彼女をお姫様抱っこするやつも」
僕は理解したくない。
僕が1番仲がいい人って
多分そういう事だろう。
それと、
「なんで、理事長がここにいて、その写真をあげてるの?」
「しょうがないじゃない。第二始祖に命令されたんだから」
「コアルさんめ、卑怯な手を使いやがって。じゃあ和紗はいいの? 義宗に写真とか送られたんだよ」
「う、うん。浅間くんからはいい情報をありがとって言われたよ」
僕の味方はいないのかな?
よし、腹いせに義宗へ決闘を挑みケチョンケチョンにしてやる。
「義宗に決闘挑みに行ってくる」
そう言って校舎を目指す。
義宗がいてくれればいいんだけど、そう簡単にはいかないだろうし、連絡するか。
※
放課後になり、どこから情報が漏れたのか大修練場には多くの観客が集まっている。
A組の生徒が競うというのは、見て学べる事もあるし、どんな手札があるか確認することもできる。
なので、こんなに煩いくらい集まったのだろう。
「なんでこんなに多いんだろう?」
「いやー、ココネ先生に聞いたら言って回ったらしいよ」
「真剣勝負だよ、義宗」
「望む所だ」
「それではただいまより、
「魔法剣
「黒夜叉」
片や虹色に光る蛮刀で、片や黒く光る刀。
魔力眼を発動すると、幻虹自体が魔力を発しているから、義宗の周りは魔力が枯渇することは無さそうだ。
お互いに剣と刀を打ち合い様子をみる。
うん、コアルさんに戦い方を習ったからわかる。
今まで義宗は幻虹をただ振り回すだけで敵の武器まで斬れていたんだろう。
「どうだ? 僕の武器は硬いでしょ」
「あぁ、斬れなかったのは始めてだよ」
義宗の隙目掛けて刀を振るうが、幻虹の力なのかなんとか対応できているって感じだ。
このまま少しずつスピードを上げていけば上手くついて来て、義宗の反応速度も上がっていくだろう。
それから5分、攻撃を続けているからか、義宗の剣を振るうスピードが高みに達した。
「そろそろだね」
「舐められてたんだ、やっぱり」
「陽法 朱の太刀
一振りで全方位へと斬撃を放ち、勝負を決める。
つもりだったけど、
「その幻虹って回復までしてくれるんだ」
「あ、あぁ。でも流石に結構痛かったよ」
「陽法 灰の太刀 朧月・峰打ち」
幻影を残して義宗の後ろに一瞬で移動し、峰打ちで首を打つ。
結果としては僕の勝ち。
だけど、義宗の首の骨を折ってしまうという失態をまた犯してしまった。
「やっぱり峰打ちで打っても首を折っちゃうんだよな」
「結構痛かったんだからね? わかってる?」
「ごめんって」
「その峰打ち練習した方が絶対いいよ」
「そうか? やっぱりそうだよな。だったら練習相手に――――」
「――――死にたくないから嫌だ。それと、面白い動画と写真ありがとね」
「あっ、てめぇそれ消去しろ」
「嫌なこった。これは将来葛を脅す為に残しておくんだよ」
「いや、普通に太刀悪いよ」
「じゃあ」
そう言って、義宗は貴族寮に行ってしまった。
試合に勝って勝負に負けた感じがする。
なにか大事な物を無くしたようなそんな感じ。
※
次の日。
A組の生徒は全員来るように、とココネ先生から連絡があり皆集まった。
「では順位の変動がありましたので、6番、
================
1番:
親の七光り
2番:
ヤクザの当主
3番:エリー・L・トワイライト
エルフのハーフ
4番:
ドワーフのハーフ
5番:
財閥令嬢
6番:
異分子
7番:
ダンジョンクリア者
8番:ペトラ・ンラ
獣族の王族
9番:
病院長の次女
10番:
保護者怖い
================
今の順番はこうなっている。
下の説明はココネ先生が勝手に書いているやつで、酷いのだと、和紗のが酷い。
多分保護者って殺されたロサイン・ルーラーの事だろう。
てか、ココネ先生ってロサイン・ルーラーを知らないのかな?
姫山快斗の親と同じパーティーを組んでた有名人なのに。
そして僕は異分子なんだ。
親とかが凄くないからなんだろうけど流石に酷いし、気にくわない。
「それでは皆さん、夏休みにが明けたらレベルSの富士ダンジョンに行きます。ですので、皆さんは様々なダンジョンで練習することができます。
この辺だとレベルAの横浜海底ダンジョン。レベルBの東京タワーダンジョンなどがあります。皆さんは授業が免除されてる分ダンジョンクリアまたは階層の更新が成績を決める材料になるので頑張ってください。先生はこれから合コンなので失礼します。解散」
ダンジョンクリアと階層の更新なのか。
ならこの前のネズミダンジョンも成績に入っているなら、皆より有利だな。
「ねぇ、義宗。僕のパーティーに入らない?」
「流石にそこには入れないかな。それにこの前が3人以上5人以下ってだけで普通はダンジョンに1人から入れるよ」
「そ、そうなのか?」
「普通はそう」
「ありがと」
そっかそっか。
なら無理にパーティーを組まないでも和紗と一緒に行けるってことか。
ならレベルBの東京タワーダンジョンにでも行くか。
そこの方が簡単そうだし、早くクリアできそうだしね。
とりあえず和紗に相談だ。
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