No.019 在処とジケン
まずはコアルさんと連絡をとりたいけど連絡先を知らないし、と思いながらスマホの電話帳を見てみると、
「なんであるの?」
そこには「コアル・スロスキー」が登録されていた。
よし、なんで登録されていたかなんてこの際関係ない。
電話して協力してもらうのが1番だ。
電話をかけると、1コールで出てくれた。
『どうしました? 鬼灯』
「和紗を吸血鬼にした第二始祖がわかりました」
『ほう。なら、私のと答え合わせといきましょう』
「えっ? 今答え合わせって言ったけど検討がついてたの?」
『はい、なので答え合わせです』
「わ、わかりました。ロサイン・ルーラーという吸血鬼です」
『良かった良かった。合っていたようです』
「コアルさん何処にいるんですか?」
『ならもう1度八乙女に電話をかけるので出てもらってください』
「えっ――――」
――――ツーー ツーー ツーー
切られた。
けどどういう意味だ?
和紗に電話をかけるって。
――――ブブブブブブブブブブブブブブ
和紗のスマホが鳴り出し、かけてきたのはロサイン・ルーラーだった。
「和紗。コアルさんが言うには出てほしいって」
和紗は僕の胸に額を押し当てた状態で首を横に振り、嫌だと伝えてくる。
「なら僕が出るよ」
次は首を弱々しく縦に振り、了承してくれた。
「もしもし」
『あぁ、やっぱり鬼灯が出ますか』
「えっと、なんでコアルさんが?」
『まずは
「和紗。コアルさんが殺ってくれたよ」
「ほ、本当?」
うっ、その涙目の上目遣いはなんという破壊力、じゃなくて、
「コアルさんの名においてだから大丈夫だよ」
和紗は安堵したのかそのまま眠ってしまった。
「コアルさん、ありがとうございました」
スマホに向かって言ったのに、思わぬ所から声がかけられた。
「いえ、お気になさらずに」
「えっ、なんでここに?」
「終わったので片付けは眷属たちに任せました」
「なるほど……それでなんでここに?」
「私はドリーさまに任されております。鬼灯、貴方を強くすることを」
「あー、そういえばそうだった」
僕は和紗をベッドに移動させてから、置き手紙を1つ。
================
コアルさんに連れていかれました。
夜には帰れると思う。
================
※
結局、3日続けてコアルさんに鍛えられた。
もう地獄のような練習で、傷は治らないし、痛みが凄いしで散々だった。
けど、1つ良かったのがコアルさんの武器を見れた事だと言っていいかわからないがそれだ。
コアルさんの武器、それは果物ナイフ。
本当に果物ナイフ1つで僕の刀をあしらい何度死ぬかと思ったか。
そして、ホテルに帰ったら和紗に泣きつかれた。
1人で寂しかっただとか、なんで置いてったのだとか、とにかく可愛いかった(そうじゃない)。
※
1週間経過して生徒全員が帰ってきた。
ネズミダンジョンをクリア出来た生徒は僕たちのパーティーと
何階層まで進んだかはこれからの成績に関わってくるから、クリアして良かったと思える。
「流石、葛だね。まさか1番にクリアするなんて」
「でも義宗もクリアしただろ」
「そうだ、クリア報酬はなんだった?」
「白銀林檎だよ。そのおかげでほら」
右目に力を込めて魔力眼を発動させる。
「
「凄いな。特殊能力か」
「聞きたかったんだけどさ。義宗もダンジョンクリアしたことあるでしょ?」
「うん、パーティーメンバーが強かったからっていうのもあるけどね」
「その報酬は?」
「これだよ」
義宗は背負っている剣を指さした。
魔力眼のおかげで魔力の流れなどが見えるからわかる。
あの剣は物凄い魔力を宿しているから、相当強い代物だろう。
「どうだ? 魔力眼で強いかわかるか?」
「うん、魔力を凄い宿しているっていうのがわかる」
「そうか、やっぱりこれ強いのか。葛、僕はこの剣のおかげで強くなれてる。帰ったら決闘しないか?」
「別にいいけど、剣壊れるかもよ」
「その時はその時だよ」
「そっか(いっその事吸血鬼にしちゃうか?)」
そんな考えが一瞬頭を
吸血鬼っていいことないし、日焼け止め代が凄い高いからやめとこう。
「そういえば葛って魔石売ってないらしいな。もって帰らなかったのか?」
「あっ、魔法収納袋に容れっぱなしだった」
「魔法収納袋か、あれって高いよね。最高級の5kg にもなると1億とかだもんな。そんなん買えないって」
どうしよう……この魔法収納袋の容量が10kg なんだけど軽く最高級のヤツを越してるよ?
ローザスさん凄すぎじゃないの?
「ぼ、僕は換金してくる」
「ついていっていい? どんな魔石あるか気になるから」
「えっと」
僕は助けを求める視線を和紗に向けると、
「葛くん、私もついていくー」
違う、そうじゃない。
「はぁ、もう諦めよう。行こっか」
「何を諦めるの」
「後でわかるから行こ。まだ集合まで時間あるけど早いに越した事はないから」
僕と和紗と義宗で換金場所まで行く。
まず、ダンジョンカードを提示して、次に魔石を出していく。
モンスターハウスの分が軽く100個くらいの小さな魔石約2kg。
ミノタウロスの魔石2kgが2つ。
最後にドッペルゲンガーの魔石が4kg。
合計10kgで容量ギリギリだった値段は、
「あのー、これってドッペルゲンガーですよね」
「そうだよ」
「こっちはミノタウロスですか? それもペアの」
「そうだよ」
「かしこまりました。それでは換金しまして、この魔石の屑たちが2,000円で、ミノタウロスの魔石ペアなので20,000円、ドッペルゲンガーの魔石は100,000円になります。合計122,000円にです」
その場で渡されても困るので、ダンジョンカードにいれてもらう。
ダンジョンカードは電子マネーとしも使えるのでいい。
てか、今の時代現金を持ち歩く人はまぁいない。
「あのー、1ついいですか?」
「なんでしょうか」
「その魔法収納袋って容量いくつですか? 確実に5kgは越えていたので」
「えーーー! 葛、それ本当なのか? どこで手に入れた、そんな国宝級のヤツを」
「えっと、知り合いにもらった」
嘘はついてない。
貰ったは貰ったけど、手作りなんて絶対に、口が裂けても言えない。
「義宗、僕が言った何を諦めたかわかったでしょ?」
「な、なるほど。僕と八乙女さんがついていく事になったから諦めたんだね。なんかごめん」
「いいって」
はぁ、それにしても大金だ。
もし白銀林檎を持って帰ってたらもっと増えただろうな。
それから集合場所に戻り、バスで学校まで帰ってきた。
僕はもう色々と疲れたから寮に戻り死んだように眠った。
この後にあんな事が待ち受けているなんて知らずに。
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