第12話 愛輝く星の天使の剣②

 深夜の狭山市に響き渡るサイレン!

 そして爆発音、人々の悲鳴!?


「なに、なんなの!?」


 まるで戦争映画。こんなの、変身初体験の夜以来だよ!?


「ふぁぁ、何よ、せっかくホモの夢見てたのに……」


 私と同じベッドに寝てたミルちゃんも、眠そうに目をこすりながら起きる。


(で、どうなのステファニー。やっぱり悪魔の仕業?)


 念話で呼び掛ける。


(ああ、間違いないね! 強烈な魔力の波動を感じるよ! 急いで止めないと!!)


「オッケー、ステファニー!」


 そうと決まれば、行くしかないし!

 正義の百合魔法少女、出動!!


「ねぇ起きて早百合、早百合ってば!」


 まずは早百合を起こさなければ、なのだけど。


 ……熟睡中。外の音にも、お、起きないし。

 あと、パジャマの上からでも、寝息に合わせて巨乳がぷるるんと揺れるのが分かって、エロい。


「って、見とれてる場合じゃないし!」


 頬をつついてみたり、鼻をつまんでみたり。


 でも起きない!


「すやすや♪」


 幸せそうな寝顔の早百合、むにゃむにゃ寝言をつぶやく。


「ふふ、りりなったら。メイド服でノーパンだなんて大胆♪」


 ……彼女の夢の中で、私は何をしてるのでしょう?


「……こうなったら、仕方ないわね」


 はい皆さん、ここで三択問題!!


 眠れるお姫様を目覚めさせる方法と言えば!?


 1、キス!

 2、キス!

 3、キス!


 うん、簡単だね!!


「ちゅぅぅっ♪」


 早百合のカラダに覆い被さり、唇を重ねちゃいます♪


「キス以外にないの!?」


 ミルちゃんが、可愛い八重歯を見せてツッこむけれど。


 はい、ありません! 断言します!

 美少女を起こすにはキス。これ常識!


「は、あぁ……ん、ちゅぅ、ふ……♪」


 熱い舌が絡まり、色っぽい声を出す早百合。

 でも起きない!?


「よーし、じゃあ、胸揉んじゃえ♪」


 仕方ないよね。早く起きて、二人でキスして変身しないと!


 そう、これは正義の為なの!!


 ……ふわぁ、マシュマロ柔らかい♪


「うっわ、ふかふか! いいなー、私にも分けて欲しいなー」


「あん、やぁっ……♪」


 強く揉みすぎたかな♪

 感じちゃってエッチな声を出しちゃう早百合、マジ天使!


 でもまだ起きない!?


「こ、これ誘ってる? 誘ってるのね早百合!?」


 キスしても、おっぱいムニムニしても起きない! 強敵!!


「ええい、最後の手段よ!?」


 決断!

 私は指を、早百合のパンツの中に、


「いい加減にせんかァァァァッ!!!」


 わ、ミルちゃん激おこ!?

 ハリセンで叩かれた錯覚まで感じたよ!?


「どうして普通に起こせないのよ、あ、貴女達は! 隙あらばキスして! 百合シーンを捻じ込んで!? きょ、教育に悪いわよ!?」


「ガチホモDVD持ち歩く幼女に、言われたくないし!?」


 ま、まぁ、それはともかく。確かに急がないとね。


 私は早百合の唇を、むちゅっ♪と強く、唇で塞ぐ。息ができないようにね!


「むぅぅ、むぅーっ!?」


 計算通り! 息が苦しくなった早百合、じたばたしながら目を覚まします!

 結局キスだけどね! 百合キスで全て解決!


「ぷはっ!? わ、私! りりなに胸揉まれながら、キスされる夢見てた気がする! ぽっ♪」


 頬に手を当てて、可愛く羞じらう早百合。

 うん、それ現実です。


 ※ ※ ※


 そして、パジャマ姿のまま町へ飛び出す私達。緊急事態だから!


 そこで目にしたのは。


「な、なんてことを……!」


 炎に包まれる町。逃げ惑う人々。

 まさに、そこは戦場。


 私は、ぞっとする。今回の悪魔は、今までとは違う。

 明確な悪意を持って、平和な日常を踏みにじる、悪!!


「いったい、どんな奴が!?」


 これは、とてつもなく恐ろしい奴に違いないわ。

 きっと、その姿を見ただけで、戦意を砕かれるような。

 悪のオーラに満ち溢れた強大な敵の姿を想像し、私はぶるっと震える。


「でも負けない! どんな奴が来ようと! 世界の平和と百合は、私が護るんだから!!」


 まだ見ぬ悪魔に、闘志を燃え上がらせる私!


 その耳に。空から轟音が。戦闘機の音が。


「あれが……敵!?」


 星空を翔ける、闇の巨鳥! それは鋼鉄の戦闘機!!

 しかも一機じゃない、編隊を組んで、彼方の空より迫り来る!!


「ふはははははははは!! どこだ、出てこい百合魔法少女ぉぉぉぉッ!!」


 そして、私は見た。見てしまった。

 飛行機の轟音以上にバカうるさい高笑いを上げ、風圧を物ともせず、戦闘機の上にふんぞり返る男の姿を。

 恐るべき悪魔の姿を。


 ああ、それは。その姿は!!


「……わぁい。ゾウさんだー(吐血)」

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