第11話 わくわくパジャマパーティー♪ お風呂も有るよ!④

「ん、ちゅ、ふぅん。早百合のキス、甘くて、美味しい……」


「ふふ、マジカル☆リリィもね。砂糖菓子みたいで、蕩ける唇♪ ちゅっ♪」


 ……大画面に映し出される、我らが百合魔法少女のラブラブで甘々なキスシーン!


 ここは池袋サンシャインビルのいずこかに隠された、悪魔たちの大会議室!

 アニ〇イトまで徒歩1分だ!


 今は侯爵級悪魔レギルレイスを中心に、打倒百合魔法少女の会議中である!


「わかってたけどさ、こいつらエロいよな……」


 過激な百合キス映像から、赤くなって目を背ける美少年、男爵級悪魔アルダ=ギルズ。

 奥手か!


 一方、氷の美貌のイケメン悪魔執事、悪魔たちのNo.2であるレギルレイス。

 忙しい彼は、百合魔法少女の姿を鑑賞するのは初めてなのだが。


 幼女姿の女王ミルダレーナに絶対の忠誠を誓う悪魔執事の眼に、14歳のマジカル☆リリィの姿はどう映るのか!?


「なんだBBAか」


「うおぉぃぃぃぃぃぃ!?」


 ば、爆弾発言である!

 この男、ロリコン悪魔レギルレイス!

 まさか、そんなまさか! 我らがマジカル☆リリィを、14歳の美少女を! BBA呼ばわりしたというのか!?


「こ、このペド野郎! どう見たって、百合魔法少女もガキだろ!? BBA呼ばわりは無ぇよ!!」


 そうだツッコめ! 論破せよアル君!!


「ちなみに俺は、コイツらじゃガキ過ぎて萌えねぇ! 女は40歳超えてからだぜ!」


 ……まさかのカミングアウトである。熟女好きか!


「君の趣味など、聞いていないのだが」


 眼鏡をくいっと上げて、悪魔執事レギルレイス、更なる問題発言!


「わかってないな。女とは! 12歳、小学生まで! それ以上は賞味期限切れだッ!!」


「お前、全国の女性を敵に回すぞ!?」


 イケメンといえど、言っていいコトと悪いコトがある!

 しかしレギルレイス、主義は曲げない!


「愚かな。お嬢様のように純粋で、ちっちゃく、可憐な方に仕えながら君は! こんな年増どもに魅力を感じるとでも?」


 ……この男、生かしてはおけない。

 女性は何歳でも、百合でさえあれば美しいのだ! 百合こそ絶対なのだ!!


「いや、それもおかしいと思うけどな?」


 地の文にまでツッコむアル君。生意気である!


「とにかく! BBA発言は撤回しろ! こんなガキどもを、魅力あふれる大人の女性と一緒にするなど許せん!! 成熟した女性の持つ、気品、深み! 女性の真の魅力である母性を! 14歳のこいつらが出せるはずがないッ!!」


「年増好きなどと、君はまともな審美眼を持たないのか? 幼女こそ至高! 神聖で、純粋で! 汚れを知らない処女こそ、この世で最も美しいに決まっているだろう!!」


「てめー! 処女厨は女性に嫌われるんだぞ!?」


 激論! 大論戦!! ロリか、熟女か!

 その壮絶な議論は、やがてモブの悪魔たちをも巻き込み! 「悪魔のつばさ」社内全体に広がり!

 まさに魔界を二分するような、神々の黄昏ラグナロクがごとき伝説的な戦いとなったのである!!


 そして、結論!


「百合魔法少女! 14歳! 奴は、我らどちらの好みでもないッ!!」


 ……なんと愚かな結論か。

 彼ら悪魔はついぞ、14歳の魅力……少女でもあり、オトナの階段を登り始めた絶妙なる年齢の魅力を、理解するに至らなかったのだッ!!


「皆の者、異存は無いな。百合魔法少女、抹殺すべし!!」


 レギルレイスの宣言に、拳を突き上げ、おー!と唱和する悪魔たち。

 まぁ、元々そのための会議だったはずなのだが。


「さて、では誰を差し向けるかだが……」


 無論、レギルレイス自ら出陣するのが最善であるが。

 前回作っていたホモゲーも発売されて間もない。

 ユーザーに万全のサポートを提供するためにも自らを含め、社内の悪魔から人員を割きたくはないのだ。


「……奴を、ブライファルケを出す」


 眼鏡をピカーと光らせながらのレギルレイスの発言に、アル君が凍り付く。


「あいつを!? 女王の怒りを買って、幽閉されてる奴だぞ!?」


「だからこそ、だ。百合もBLも、異性愛も同性愛も等しく無効化する奴の能力。百合魔法少女を倒すには、うってつけだろう?」


 封印されし、男爵級悪魔ブライファルケ。その能力とは果たして……?

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