第27話 昴の葛藤!またイギリスへ

翌日、昴は学校に来なかった。学校には連絡

があり、しばらく休むとだけ伝えたらしい。

勇也達が連絡をしてみるが、つながらず

メールの返事もなかった。


その昴はまたイギリスにいた。


普通には来れない場所に来れたのはある

人物の助けをかりたからだ。

その人物とはめぐみの姉の紗香だ。

彼女に連絡し、色々してもらったのだ。


「すまない。無茶な事をさせて」

「あなたらしくないわね。電話でも何か

落ち込んでる感じだったし」

「落ち込んではない。いや、これがそう

言う感情なのかもな」

「それも経験ね。ま、誰も自分の思うような人生はないから。あなたも一緒よ」

「あんたもなのか?こんな金持ちが」

「だから苦労する事もあるのよ。それは

あの子も同じ」

「あいつもか」


昴は借りた部屋に戻った。何かに悩んで

眠れなかったのは、自分が捨てられた

子供だと言われたあの時以来だ。


次の日、昴はロンドンを回った。なぜか

この街が気になったからまたここに

やって来たのだ。


そして、昴は時計塔、ビッグ・ベンが

見える観覧車に乗り、ロンドンを

見渡す。その後、橋の手すりの上に乗り

時計塔を眺める。


「やっぱこっちの方が落ち着くな。こっちに住むか。ここならあいつら見たいに

つきまとわれる事もないしな」


そんな事を考えていると、誰かに声を

かけられた。


「あなた、この前ライブしてた人ですよね?あの、サインください」

「何で知ってる?」

「これを見ました」


彼女はスマホで動画を昴に見せた。話しを

聞くと、この間のライブが動画に載って

いたらしく、それが大人気になったらしい。


その証拠に彼女が話しかけて来てから

いつのまにか人だかりが出来ていた。


昴は面倒になる前にその場から立ち去った。


紗香の家に戻り、さっきの事を聞いて

見る。すると、やはり動画が何十万回と

再生されていて、今でも昴の事は

噂されていた。


「ここにも俺の居場所はないか」

「それは違うよ。皆、あなたを見てすごいって思ったからファンになったのよ。それは

あなたが皆を楽しませれた証拠でもあるわ」

「楽しませる」

「そうよ。誰かを楽しませるのは大変な

事だけど、それ以上に得る物はあるん

じゃないかしら」

「わからん。俺には楽しむ資格なんて」

「それは誰にでもある資格よ。だから

あなたも笑っていいんだからね」

「笑う。そんなもの、俺は知らん」


昴は部屋に戻った。それから五日程

紗香の家に居て、日曜日に昴は日本に

戻った。


戻ってすぐにバイトには復帰したが、学校

にはもう少しあとにする事にした。ちなみに

昴は自分のスマホを家に置いていたので

めぐみ達からの鬼電があり、しかたなく

めぐみにもう少ししたら戻るとメールだけ

いれた。


翌日、昴は夕方色んなライブハウスを

見て回った。何でもやれる自分が

今一番やりたいと思っているのが音楽だ。


だが、昴はまだ人を信じれず前には

進めれなかった。



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