第21話

哀しい?とも違うけど、

なんかモヤモヤする


彼の態度が

そんな気持ちにさせる


彼と関わると

こんなことばかり。


いつもモヤモヤさせられる


次の日も、

存在を無視された

子供染みた仕打ちは続いてた


私はそんなに

悪いことを

してしまったのだろうか


しかも

それに気づいていない

鈍感な自分を

危機的に感じてきて、

ついには

自分を責める気持ちが

生まれてきた。


「はぁ〜」


移動車の中、

深くついた溜息。


知らずに

何度も溜息を

ついていたのだろう


「うるさい」


久しぶりに

私に向けられた言葉は

それだった


ドキっとして

萎縮した私


でも恐る恐る見た

彼の表情は

言葉とは違ってみえた


読んでいた台本を

パタンと閉じて

私を見た彼。


やっと目が合ったら、

やっぱり見つめてしまった


「なに?」


「いえ…すみません」


「何が?」


「…静かにします…」


(怒らせて

目も合わせてくれないし、

口も聞いてもらえないし、

どうしたらいいか

わからなくて悩んで、

そしたら、

やっと口を聞いてくれて

目も合わせてくれて、

ほっと安心して

目を見たら、

やっぱりかっこよくて

目が離せなくて

見つめてしまいました!)


なんて心の中の声は

言えるわけない。




追及されると困る。



だけど彼は

私のことを

まじまじと見続ける


な、なに?


「何…ですか?…」


「何だろう、

振られた気分なんだよね」


え?…


「〝ファンだから当たり前〝って、

ファン辞めたって

言わなかった?」


「えっ?」


たしかに

昔言ったかも…


まさかそれを

怒ってる?


「あの、それは…」


言葉の綾って言うか、

ファンは

そう簡単に辞められなくて



「違うんです。

振られたなんてそんなっ」


滅相もないっっー


全力で否定した。


「それは、

俺のこと好き。ってこと?」


え…それは…


「付き合わない?俺と」


え!?


「…どうゆう…意味ですか?」


近づいて来て

私の頬に軽く口づけて言う


「こうゆう意味ー」


どうする?ー


突然のことに

どうしたらいいのか

わからないまま

フリーズした


「嫌?ー俺と付き合うの」


それは違う!


絶対違うっと

大きく首を横に振って

否定したら、



「ありがと」



彼は優しく微笑んだ



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