竜園地
竜の島に到着した和人達はまず宿泊施設に案内されて向かうようだ。
移動中に島の観察をするが、俺の想像する遊園地のような電飾煌びやかな施設は無い。
代わりに各所に迷路やダンジョンといった人工的に作られたものが点在している。
遊園地は遊園地でも自然を満喫しながら楽しむレジャー施設とかアスレチック公園という感じだ。
ただ、その作られた施設を見るとどう見てもただじゃ済まないようなものばかりなんだよな。大丈夫なのか?これ。
宿泊施設で一晩過ごした一行は完全武装で火竜の領域に向かうようだ。
この島は南に入り口があり、そこは水竜の領域で北にも同じような縦長の領域がある。
南西には火竜の領域、北西には風竜、北東には氷竜、南東には地竜の領域があり、それぞれを領域を分けるかのように南北直線状に水竜の領域、それと十字に交わるように東西直線状に雷竜の領域がある。
そして水竜と雷竜の領域にはそれぞれ宿泊施設のようなものがあり、島の中央の山に竜人の屋敷と社がある。
一行は進みながら襲い掛かる小型のドラゴンを蹴散らしていく。
ドラゴンは倒されるとスッ何も残さず消滅する。
こっちのドラゴンはそういう生態なのか?変わってるな。
そのまま進むと分岐と謎かけ文があるようで、一行は悩んだ挙句選んだ道を進む。
進んだ先には大きなドラゴンが待ち構えている。どうみてもハズレだよな。
一行は逃げる事もせずそのまま大ドラゴンと戦闘開始。
大ドラゴンが口を開いたかと思ったら灼熱のブレスが一行を消し炭にした。
「え!?ちょ!?」
さすがにこの事態には焦った。即死!?
「落ち着いてください。最初の宿泊施設の方に転送されています」
動揺する俺にサチが冷静に教えてくれる。
良く見ると出発した宿泊施設の前に一行が無傷で倒れている。
「どういうことだ?」
「解析したところ、現在この島全体に特殊な魔法が発動しているようです」
「詳しく」
その日はそのまま宿で休む一行を眺めながらサチの話を聞く。
どうやら入場口を通った時点で島全体に展開している魔法陣が起動して、島が特殊な空間に変化するらしい。
その効果は重傷や死亡といった状態になると指定された場所に強制転送されるというもの。
そういえばオアシスの街にも似たような機能をしたものがあったな。
「先ほど和人達が倒した竜も転送されています」
先ほど倒された小型のドラゴンが倒された場所から離れたところで地団駄踏んでる姿が確認できた。悔しがる姿が少し可愛い。
「つまりこの魔方陣が発動している間は不死身になるのか?」
「そう言う事になります」
なるほどねー。
この竜園地を作ったのが勇者だと言うことを再確認させてもらった感じがする。
つまり勇者はリアルゲーム世界をこの島で作り上げたわけか。良く考え付くなぁ。
「魔法陣は入場者が入場口から出ると解除されます」
「攻略するか諦めると普通に竜の島に戻るわけだな」
「そういうことです」
はー・・・凄いなぁ。
「現在和人達が滞在している施設の裏手に門がありますが、あそこを通るには各四領域の印が必要とされています」
「なるほど」
まとめよう。
現在この島は特殊な魔方陣の影響で死んでも生き返る仕様になっている。
和人達の目的は中央の山に行き、この竜園地をクリアすること。
クリアするには島の各領域の印が必要なので実質一周する必要がある。
「序盤からあれだと結構厳しいんじゃないか?」
「どうでしょうか。ソウの方がその辺りの感性があると思いますが」
「うーん、そうだなぁ。日数かけて慎重に攻略していけばやれなくないぐらいかなぁ」
見た感じ適当にごり押ししようとすると痛い目を見るが、ちゃんと用意されたものをこなせば進めるようにはなってると思う。
折角作ったのに全部やってもらえず帰られると寂しいしな。多分その辺りは上手く作ってあると信じたい。
「しかしそこまでして和人達が頑張る理由はなんだ?」
「中央の山の社で貰えるお守りが目的のようですね」
「お守り?」
「はい。あらゆるヤクを払い、ムビョウソクサイが約束されるものらしいです」
「へー」
「あの、ヤクとかムビョウソクサイというのが良く分からないのですが」
「あぁ。厄ってのは降りかかる不幸だな。無病息災は平和に元気でいられるって意味だ」
「なるほどー」
「で、実際その効果はあるのか?」
「ソウの加護に比べると微々たるものですが、あるようです」
「そうか。じゃあ信者が持ったら効能があがるようにちょっと協力しとくかな」
追加効能は・・・そうだな、厄払いという意味でいわれの無い悪意が向き難くなるようにしよう。
条件は信者である事、手にした本人である事、後に信者になっても効果が出る事。ぐらいでいいか。
承認すると社が一瞬ぼんやり光って直ぐ元に戻る。
あとは和人達がどれだけ頑張れるかだな。
日数掛かりそうだし、他の場所を見ながら状況を確認することにしよう。
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