第2話 アイテム使用のスキルがとんでもないチートだと発覚しました

 改めましてオレの名前は安代(あしろ)優樹(ゆうき)。

 年齢24歳。実は現在絶賛ニートの若者。

 というのも少し前までは会社に勤めて、それなりに働いていた。

 が、オレが勤めていた先というのがいわゆるブラック会社で、あのままあそこにいたらオレは過労で死んでいた自信がある。

 そうならないために退職し、ニートという名の自由を味わう予定だったのだが、その矢先にこの異世界転移だ。

 結局、過労で死んでてもこの世界に異世界転生していた可能性もあり、どちらもあまり変わりなかったかもしれない。


「とはいえ、これからどうするかー」


 先ほどの王様とのやり取りのおかげで無事この世界でもニートとなったオレ。

 となれば、地球でやれなかったのんびり日常生活をこちらで過ごすか?

 幸いというべきか王様からのお慰みということで金貨100枚ある。果たしてこれでどれくらい持つかは謎だが。


「あー、それとオレのスキルも一応活用していくか」


 そうボヤいてオレは右手を掲げる。

 すると視界の端に『スキル:アイテム使用』という文字が見える。

 あー、なるほど。これでスキルを使用するのか。

 こういうのはラノベとかで結構読んできたのでなんとなくわかっているつもりだ。

 そう思い、右端の『アイテム使用』に意識を集中させるとスキルが発動した。


『スキル:アイテム使用――金貨100枚を使用します』


 ん? ちょっと待て。

 今、なんかとんでもないワードが聞こえたぞ。

 金貨100枚を使用?


 オレはすぐさま懐に入れた袋を取り出す。

 そこには王様からもらった金貨100枚が入っていたのだが……。


「うえっ!!?」


 オレは思わず間抜けな声をあげる。

 それもそのはず。

 袋の中に入っていた金貨がオレの目の前でどんどん消失し、最後にはなくなったのだ。


 ば、バカな!? 先ほどまで袋いっぱいに入っていた金貨100枚がゼロに……?

 う、嘘だろう!? このスキル!?


「ちょ! たんま! 今のなし! 今のスキル使用ない! 間違い! 間違い! 戻して! 使った金貨戻して!!」


 オレは必死に自分の脳内――というかスキルに話しかけるが、そこから返ってきた答えは無情の一言であった。


『アイテム使用により使用されたアイテムを戻すことはできません。全て使用されました』


 なん……だと……?

 その一言を耳に、オレはその場で崩れ落ちる。


 お、終わった……。オレの人生……異世界生……。これで完全に詰んだ……。

 なんだよこれ……なんなんだよ……外れなんてレベルじゃない……。ひどい……ひどすぎる……ゴミオブゴミ……ゴミ以下のクソスキルじゃないか……。

 なんで、オレのスキルだけこんな外れになったんだよ……。


 そう悲観するオレであったが、その瞬間脳内に新たな言葉が響いた。


『スキル:アイテム使用により金貨100枚を取り込んだことで、ニュースキル:金貨投げを取得いたしました』


 ……ん?

 金貨投げ?

 なんだそれ?


 オレは思わず顔を上げ視界の端を見る。

 するとそこには『スキル:アイテム使用』の下に『スキル:金貨投げ』という文字があった。


「……なんだこれ?」


 オレは『スキル:金貨投げ』と書かれた文字を指で触れる。

 すると、そこになにやら説明文が出てくる。


 スキル:金貨投げ ランク:A

 効果:金貨を消費することで敵にダメージを与えるレアスキル。

 金貨一枚の使用で敵全体におよそ1000近いダメージを与える。

 これは使用する金貨の枚数を増やすほど増えていく。

 同系統のスキルに『銀貨投げ』『銅貨投げ』があるが、金貨という貴重な貨幣を消費することで発動するこのスキルは敵のあらゆる防御系スキルを無視し、肉体を持たない対象にも1000の固定ダメージを与える。


 …………なにこれ?


 なんか書いてあることはやたら強そうだし、レアっぽいスキルのようだ。

 よく見れば『残り金貨枚数:100』とも書かれている。これがつまり弾丸の数ってことか?

 いや、でもなんでいきなりこんなスキルを取得したんだ?


 疑問に思うオレであったが、その心当たりは一つしかなかった。


「……ちょっと待てよ。この『アイテム使用』ってスキル、もしかして……」


 オレは慌てて、自分の『アイテム使用』と書かれたスキルを確認する。

 そこにはスキル:アイテム使用 ランク:? 効果:アイテムを使用する。とだけ書かれている。

 だが、もしもここに書かれていない効果がこのスキルに宿っていたら……?


 オレはすぐさま近くにいた街の人に話しかけ、この街にあるゴミ捨て場の場所を聞くと、そこへ向かってダッシュで移動するのだった。

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