5-8その2
土曜日の夜、ログインの時間です。今日は16日で18日は祝日なので本来は三日間の休みでしたが、文化祭の準備で登校したため、実質的に休みは二日間になっています。
さて、とりあえず日課をこなしましょう。
「よっしみんな揃ったな」
私が黙々と日課をこなしているとハヅチが声を張り上げました。今日は前から約束していた中間ポータルの開放を臨場感たっぷりに話す日です。
「よーし、私とダークエルダートレントとの死闘の記録を話しちゃうよ」
みんなは聞いたことがないMOBの名前に興味津々のようです。そりゃ、この先に出現する可能性があるのですから、聞いて損はありませんよね。
………………
…………
……
質問を受け付けながら話していると、途中で錬金のスキルレベル上げをしていたことに納得がいったようです。そりゃ、除草剤を作っているなんて思いませんよね。
「それで、最後にフラッシュボムでトドメをさして、老樹の苗木ってアイテムを手に入れたの」
「その苗木はどうするの?」
「へ? そりゃ、もうリコリスに育てるの委託したよ。農業スキル持ってるって言ってたし、クラン全体で畑の面倒見てるらしいしね」
「手の早いことで」
「まあね」
除草剤は残っているので見せたのですが、やはり失敗作にしか見えないそうです。まぁ、あの色合いではしかたありませんね。
「最後に、例のマップデータとMOBデータ貰えるか?」
「すぐ作るね」
作るのを忘れていました。まぁ、マル秘メモを作るのに時間はかかりませんし、問題はありませんね。
「はい」
「さんきゅ」
みんなに行き渡ったので、一つ確認しましょう。
「そんで、送る?」
「あー、相談したんだが、他のとこと合同で向かおうって話になってな。どうしても無理なら頼むよ」
「そっか。じゃあ、必要なら言ってね」
あそこは四方八方からホワイトウルフが襲ってくるので、お互いに背中を守りながら進むのでしょう。まぁ、警戒する範囲が少なくなれば、負担も減るのでしょうし。
あそこから先へは足を踏み入れていないので何が出るかは知りませんが、ホワイトウルフの上位MOBが出てくるのなら、必要な経験かもしれませんね。
特に何をするか決めていませんでしたが、優先順位が高いのは配達の手伝いクエストと中間ポータルから東へ進んだら出現するMOBの確認ですね。さて、どうしましょう。
テロン!
――――フレンドメッセージが一通届きました。――――
おや、誰でしょう。
ふむふむ、ザインさんですね。今から情報交換出来ないかとのことです。了承の返事をしておきましょう。
「そんじゃ、私はザインさんと情報交換してくるね」
「ああ、本当に迷路だったら送ってもらうからな」
「りょーかい」
流石に迷路を進みたくはないようですね。私も同感ですが、残念ながらユリアさんがテレポートを使えない限り、私と一緒に行くことになるでしょう。
ザインさんからクランハウスへのゲスト権限を貰ったので指示の通りに進み、二度目となるアカツキのクランハウスを訪れました。
「お邪魔しまーす」
「よく来てくれた。今日はクランメンバーと君以外は入れないから安心してくれ」
そう告げたのは動きやすそうな装備のザインさんです。
「……そのセリフで安心出来る女の子がいるとでも?」
「全く、だからそう言ったじゃない」
そう言いながら空色の髪のユリアさんはお茶の用意をしています。他の名前を知らないパーティーメンバーはいないようですね。
それでは少し怯えた表情をしながら後ずさりするとしましょう。
「そ、それで……」
「同盟クランに貰ったお菓子の試作品もあるから席についてちょうだい」
「美味しそうですね」
ショートケーキですね。最近食べていない気がするので、美味しくいただきましょう。
「ユリアに残ってもらって正解だったな」
「貴方一人にすると、どんな借りを作るかわからないもの」
うーむ、ザインさんが借りを作りやすい人というのは周知の事実のようですね。そうでなければ、エンジョイ勢である私と情報交換をすることなんてないでしょうし。
まぁ、ユリアさんも気軽に借りてくれるのでそこまで困りませんが。
「いただきます」
何はともあれ、まずはショートケーキです。
「食べながらで返事はいいから聞いてくれ。俺達が出せるのはサウフィフから水流の迷路までのマップデータと道中のMOBデータだ。ちなみに、名前からわかる通り、ポータル付近は迷路になっていて、かなり時間がかかった。そちらがどうかはわからないが、ポータルが開放されてもこの迷路は残っている」
もぐもぐ。私の方は残らなかったんですよね。まぁ、オールドトレントが残っても、全部倒せば残らないのと同義ですが。もぐもぐ、ごっくん。
「私の方はもうただの広場ですね。それでもホワイトウルフの群れを突破するのが大変らしいんですけど」
私は頭上を通り抜けたので何も知りませんが。
一緒に出されていた紅茶を飲み、ザインさんが口を開こうとする瞬間に追加の情報を出します。
「そ――」
「ただ、私が開放した中間ポータルまでザインさん達をすぐに送り届ける用意はあります」
出鼻をくじかれたザインさんは口を中途半端に開いたまま固まっています。私が持っている情報はネコにゃんさんにも売ったので、直に広まる……既に広まっているはずです。ですから、情報の価値としては低いでしょう。
「それは、どういうことだ?」
「中級スキルの時空魔法にはテレポートって魔法があるんですよ。その魔法は、使用者が行ったことのあるポータルかセーフティゾーンに移動出来るんです。パーティー単位で」
「それって、パーティーメンバーが行ったことのない場所でも行けるのかしら?」
流石は魔法職のユリアさん、魔法関連なので食いつきがいいですね。
「行ったことない景観ポータルとセイフティゾーンに連れて行けるのは確認済みです」
流石に入るのにダンジョンのクリアといった条件のある街に連れて行くのは無理だと思いますが、中間ポータルなら行けると思うんですよね。
「やっぱり空間魔法は早く上げるべきね」
ふむ、最前線のプレイヤーでも時空魔法は持っていないのでしょうか。あれはあると便利なんですけどねぇ。
「俺達は南の攻略を優先する。けれど、他のクランが攻略場所を東に移した時、後手に回るのは避けたい。リーゼロッテ、連れて行くことの対価は何だ?」
「その前に確認したいんですけど、南のマップデータ、それがあれば迷路で迷うことはありませんか?」
地図を貰っても迷っては意味がありません。迷うような地図なら、その価値は低いですし。
「俺達がクリアする前であれば、一定時間で迷路が変化していた。けれど、ポータルを開放したことで、変化は止まっている……と思われる」
「そうですか。まぁ、止まってると仮定しておきましょうかね。それで、連れて行くことも、地図とMOBデータの対価に含めようかと」
貰い過ぎも払い過ぎもよくありませんから、それぞれの価値を考えればちょうどいいでしょう。
「いいのか?」
「私の地図データ、踏破率低いんですよ。あ、でも、ユリアさんがテレポートを覚えたら、案内してくれると助かりますね」
「そうね。もし貴女が南の中間ポータルを目指す時に私がテレポートを覚えていたら、連れて行って上げるわ」
ふっふっふ、約束を取り付けましたよ。これで東に集中出来ますね。自分で探すのは面倒ですが、マギストは魔法系の街なので、私の中で優先順位は高いんですよ。
「ところで、私は何人送ればいいんですか? 他の人達は見当たりませんけど」
パーティーの都合上6人を送るには2往復しなければいけません。今ここにいる2人だけで済むのなら楽なのですが。
とりあえず、ザインさんとユリアさんの相談が終わるのを待ちましょう。ショートケーキのおかわりも出てきましたし。
もぐもぐ
「リーゼロッテ、いいか?」
「どうぞ」
「今回は俺達2人を送ってくれ。他の4人は今出ているし、また後日となったら、どんな追加料金を取られるかわからないからな」
ザインさんはおどけながら言っていますが、その通りなんですよね。私自身、何を要求するかわかりませんし。
「出発は食べ終わってからにしましょうか」
「それは……もごもご……助かり……ます」
出されたショートケーキをしっかりと味わいながら送られてきたパーティー申請を受諾しました。リーダーはザインさんですが、ダメならリーダーを変更すればいいだけです。
「それでは行きましょうか。成功したら、データの交換をしましょう。準備はいいですか?」
「ああ、頼む」
「いいわ」
それでは魔法陣を描いてっと。
「【テレポート】」
特に警告が出ることもなく、暗転を挟んで【魔の森】の中間ポータルへと移動しました。
「ここが目的地ですよ」
「広いな」
「ここで何をしたのかしら」
「それは別料金です。それで、これが料金です」
私が二枚のマル秘メモを取り出すと、ザインさんも二枚のマル秘メモを取り出しました。手渡しトレードで交換が成立したので、さっそく使ってしまいましょう。これで私のミニマップとモンスターリストに情報が入りました。
えーと、ふむふむ、なるほど。これは厄介ですね。
「エテモンキー……確か配信をしているプレイヤーがそんなことを言っていたな」
「ええ、本当にいたのね」
ピコン!
――――World Message・新たな中間ポータルが解放されました――――
プレイヤー・【フィーネ】率いるパーティー【RK第一PT】によって【廃棄工房】が解放されました。
当該ポータルを登録することで、転送先として利用可能になります。
――――――――――――――――――――――――――――――
「北も中間ポータルが開放されたか」
ザインさんが言うのですから、北の中間ポータルなのでしょう。何も残ってなさそうな名称の中間ポータルですが、ちょっと興味がわきますね。
「フィーネさん……えーと、北を開放した人達とは情報交換するんですか?」
「ロイヤルナイツだ。ある程度はするが、どこかが街を開放してからだろう」
「そですか。それでは、私は帰りますので」
さて、速度上昇でも取りに行きましょうかね。
「リーゼロッテ、せっかくだ、少しこの辺りを回ってみないか?」
「ちょっとザイン」
「全滅しても文句を言わないのならいいですよ」
最前線のプレイヤー同士なら大まかな職でお互いに合わせられるかもしれませんが、私にはそんなプレイヤースキルはありません。流石に文句を言われることはないと思いたいですが、念の為確認はしておきます。
「ただどんなMOBが出るのか見るだけさ。それに、ユリアも高レベルの魔法陣の情報が欲しいって言ってたろ」
「それはそうだけど……」
はて、ユリアさんならもう私と同じくらいまでいってても不思議じゃないんですけどねぇ。
「まだ中級スキルまでいってないんですか?」
「まだ下級スキルよ。それもイベントの終わりに無理矢理取ったわ」
「魔力操作があれば魔法陣使えるはずですけど、そんなに時間かかったんですか?」
私の問にユリアさんは何か迷っています。けれど、それもつかの間、すぐにくちを開きました。
「……条件は満たして取ったわよ。でも、使えなかったのよ。いえ、正直に言うわ。描く魔法陣がわからなかったのよ」
ああ、グリモアもそうでしたね。でも、ちゃんと魔法系のスキルのフレーバーテキストを読めばわかるでしょうに。
「はて、スキルに書いてあったんですけどね」
「魔法陣スキルのどこにも描く魔法陣なんて書いてなかったわよ」
「そりゃ……。いえ、何でもありません」
これはグリモアがしっかりと後払いの対価を用意した情報です。なら、それ相応の対価は必要ですね。
「まぁ、もう問題ないわ。夏のイベントで無理やり下級スキルを取ったから」
……スキルレベルを上げる報酬がありましたけど、そんな強引な手を使うとは。1つカンストさせるのに大判29枚ですが、ユリアさんにしてみれば大した数ではなかったのかもしれませんね。
「魔法陣系のスキルレベル以下の魔法しか使えませんから、面倒くさそうですね」
「そうなのよ。お陰で自由時間の大半がレベリングよ」
「それで二人共、少し見て回る気になったか?」
おっと、話し込んでしまいましたね。ただ、ザインさんは前衛ですが、アタッカーです。そして、私もユリアさんも魔法職、これは重量級のMOBが出てきたら詰みますね。
「負けても文句を言わないんでしたら、いいですよ」
「少しくらいなら、行ってみましょ」
こうして思ってもみない相手とパーティーを組むことになりました。
「それじゃあ、リーゼロッテのために何が出来るか簡単に話しておこう。俺は速度重視の剣士だ」
「私は全型の魔法使いよ」
「私も全型だと思いますよ。中級スキルはまだまだ全然ですけど」
「……よくもまぁ、それでホワイトウルフの群れを越えてきたものだな」
「ほんとにね」
「その情報は別料金です」
「……出発するか。北から時計回りに行こう」
「そうね」
話を流されてしまいましたね。まぁ、興味が無いのならそれまでです。
ザインさんを先頭に北へと進むと、遠くで大きな音がしました。……随分前に聞いたことがあるきがします。
「今の音……木が倒れる音ですかね」
「なぜわかるんだ?」
「いやー、聞いたことがある気がするんですよね。ちょっと見てみますね」
遠望視を使ってズームします。遮蔽物が多いので大変ですが、何か巨体が動いていますね。
「遠望視って斥候系のプレイヤーがよく取ってるわよね」
「何で魔法使いが……」
「うーん、オーガですね。射程外なので気付かれてはいないんですけど……。あ、複数体います。逃げましょう」
私の提案に二人共乗ってくれたので、逃げることになりました。流石に重量級のMOBを壁役なしでは相手にしたくありませんね。
「ところで、1体ずつなら倒せるのか?」
「地上戦の時はスクロール使って上手く立ち回れたようで勝てましたよ」
「そ、そうか。ちなみに、地上戦以外は何があるんだ?」
「樹上戦とでもいいましょうかね。上からボム系で一方的に倒せます」
位置取りが大変ですが、一番楽な方法ですね。
「ボム系は制限があったはずだけれど、同時発動なら複数個持てるのかしら?」
「そですよ。まぁ、5個抱えるのは大変ですけど」
戦わないまま東へと逃走すると、今度も遠くに巨体が見えました。あれは何でしょう。
「森で桃色って目立ちますね。ザインさんのウェストポーチくらい存在感がありますよ」
「……もう一度見てもらってもいいか?」
「いえっさ」
さてさて、今度は何でしょうか。ここも森なので木が邪魔なことに代わりありませんが、目立つのでさっきよりは見やすいですね。
「桃色で……二足、歩行の、……豚? あ、オークですかね。ほう……ユリアさん、騎士になりません?」
「ならないわよ。というか、どうしたのよ急に」
「いえ、わからないのなら構いません。それで、重量級だと思いますけど、どうしますか?」
中間ポータルを中心に時計回りを意識して動いているので、この辺りはどちらかといえば東側に該当するはずの場所です。つまり、マギストに行くにはオークの森を突破しなければいけないということですね。確か、ロイヤルナイツは騎士団風なので、任せてみたいですねぇ。
「……オークか」
「見た目からの推測ですけどね。識別出来る距離まで近付いてから逃げますか?」
「リーゼロッテ、答えたくなければ答えなくてもいい。攻撃魔法のスキルレベル、どのくらいだ?」
「炎と嵐と聖の中級は持ってます。あとはもうすぐ50です」
「……なるほど。そうなると主な攻撃手段はランスかブラストだな」
他にも何か口にしながら考えています。断片的なものしか聞こえませんが、大半が正解ですね。まったく、最前線のプレイヤーというのは恐ろしいものです。
「二人共、オーガとオーク、どちらの方が強いと思うか?」
オーガとオークですか。繁殖力という意味ではオークが段違いだと思いますが、オーガはまんべんなく強そうです。
「オーガですね」
「私もそう思うわ」
「だな。オーガと戦った経験はあるから、俺達3人でも倒せるかもしれない。リーゼロッテ、いやならやめるが、オークと戦ってみないか?」
そんなに緊張する必要あるんですかね。
「これはゲームですよ。次の街へ向かう途中に戦ったことのないMOBがいるんです。なら、戦いましょうよ。いずれは戦うんですから」
「そうか。それなら、俺が先陣を切る。二人共、合わせてくれ」
うっわ。何の指示もありませんでしたよ。まぁ、いいんですけどね。最大火力を叩き込んであげますよ。流石にユリアさんからタゲを奪えるとは思えませんけど。
「行くぞ」
ザインさんが投擲スキルでダーツの様な物をオークに向けて投げました。詠唱反応はないようで、命中するまで反応しませんでしたが、その後すぐに近付いてきているザインさんへとその目を向けます。
「【フラッシュレーザー】」
なぬ!
無詠唱で極太の白いレーザーが放たれました。詠唱を始めるのを見てから魔法陣を使おうと思っていたのですが、不意を突かれましたね。
魔法陣を5つ描きながら観察しているのですが、ユリアさん、オークの顔を狙って魔法を放っていたようです。そのせいもあり、オークが眩しそうなモーションを取っています。その隙を突いてザインさんが攻撃しているのですが、視界が塞がれているオークの攻撃を避けるのは容易なようです。
「【ダークランス】」
魔法陣を描き終わる頃にはフラッシュレーザーの発動が終わっているので、私も顔を狙って放ちました。
オークはその巨体で木々をなぎ倒しながらユリアさんへと向かって来ます。けれど、突然転けましたよ。そのせいで私の魔法が2発外れてしまいました。うーむ、転けた原因はザインさんが片方の足を集中的に攻撃したせいですか。
オークが起き上がるために手をつきますが、ザインさんがその手に攻撃を加えています。なかなかにえげつないことをしますね、この人。それではディレイも終わったので、魔法陣を5つ描きましょう。
「【フレアレーザー】」
ユリアさんの極太レーザーがオークの巨体に命中し、ジタバタと暴れています。動くに動けないオークはただの的ですね。
「【ボム】」
属性を合わせた方が威力が上がる気がするので、レーザーで焼かれている場所を爆破しました。あ、ザインさんが突然の爆発に驚いています。けれど、オークはもうポリゴンになっているので、問題はないでしょう。
ちなみに、ドロップは頑丈な皮が1枚でした。
「今のって強いんですか?」
「……強い方ね。HPはオーガとあまり変わらない、と思うわ」
一つ、疑問が生じました。
「ザインさん、何で他の人達はホワイトウルフの群れ、突破出来なかったんですか?」
1体か群れかの違いはありますが、正確な狙いや、攻撃を掻い潜って一点を攻撃し続けられる人達が、突破できないとは思えません。
「あー、こっちを狙ってる中で一番進んでるのはJUSTICE BRAVER’Sっていうところなんだが、あそこは個人個人の自己主張が強くてな。統率の取れた相手は苦手らしいんだ」
「何度かそれらしき場所にたどり着いたって聞いているけれど、何も出来なかったらしいわ」
要するに実力不足だったということですか。きっと関わることもなさそうですし、これ以上聞く必要はありませんね。
「そですか。それで、この後はどうします?」
「俺は南側へ移動しようと思っているんだが」
東側のMOBも確認したので、そうしましょうかね。
ユリアさんも同意したので、移動を開始しました。その道中では。
「ところで、さっきのは何かしら?」
「何のことですか?」
「ボムのことよ。中級魔法のボム系じゃないんでしょ」
「あーあれですか。知りたいんでしたら――」
「対価は払うわ。聞いてから決めていいかしら?」
「いいですよ。えっと、前にトレントと戦って……」
大まかな条件の予想は付きますが、確定してはいないのであの時のことを説明し、最後に私の予想を口にしました。
「まぁ、魔法を利用して爆発を起こせばいいんだと思いますよ」
「……そう。もしも複数人でも出来るのなら、何とかなりそうね。ありがとう。未発見の魔法の対価、何にしようかしら」
「おんなじようなの見つけたらでもいいですよ」
レベルや使用回数以外にも何かを覚える条件があるとわかれば、何か見つけてくれるかもしれませんから。
「それなら、そうするわ」
ちなみに、南側のMOBは慣れ親しんだトレントのちょっと強い版だったので、ボムの取得を手伝い、取得出来たところで解散になりました。
ログアウト前にユニコーンを召喚してログアウトです。
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