第38話 温めてあげる

 はるは。

 超のつく冷え性で。

 冬になると手足が氷みたいになる。

 ある日。

 サイドテーブルに指輪を置いて、ベッドに入ると、はるは日高の体に足をぴとって寄せた。

「わ、冷たっ」

「ふふっ」

 はるが笑った。

「手も冷たいよ」

 日高の耳もとに、手のひらをくっつけた。

「こんなに冷たいの?」

「毎年だから。冬はね」

「そうなんだ………。じゃあ、温めてあげる」

 日高が、はるの足を自分の足の間に入れて。

 手のひらを自分の胸元に引き寄せた。

「あったかーい」

「私、体温高いから」

 日高は微笑わらった。

 その日から。

 毎晩のように日高が、はるの体を温めてあげるようになった。

 ケンカをした時は。

 温めるだけ温めてあげて。

 ふいっと横を向いちゃうんだけど。

 何かそんな時には。

(横向いちゃう時が一番カワイイんだよなー)

 なんて。

 ドSぎみに、はるは思ったりしていた。

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