お墓参り 混浴
「えへへ。やっちゃった」
「やっちゃった、じゃないわよ!」
「ごめんってー。お姉ちゃんも行ってくる?」
「馬鹿なこと言わないの!」
「おこられたー」
楽しそうなまなみの声が聞こえる。
見られたことを気にする様子がないのは良かったといえば良かったんだがもうちょっと色々気をつけてほしい……。
「えっと、康貴?」
「ああ……どうした?」
まなみのせいかおかげかひとまず落ち着きを取り戻した愛沙が声をかけてくる。
「その……落ち着かないかもしれないけど、せっかくならどっちも温泉を楽しめたほうが良いと思うの」
「そうだねっ! 康にぃもこっちおいでよ!」
「違うわよ! ちょっと康貴⁉」
「わかってる! 行かないから大丈夫だ」
まなみがいるとほんとにかき乱されるな。
それであわあわする愛沙も可愛いんだけど……。
「のぼせない程度ならこのまま、話さない?」
「愛沙たちが良いなら」
「もちろーん!」
「お前はもうこっちに来るなよ⁉」
「あははー」
まなみのことはしっかり愛沙が見張ってくれると信じよう。
と思ったけど嵐のようなまなみを止めるのは無理だった。
「あ! 私先髪の毛やってくるからお姉ちゃんたちはゆっくりしててー!」
岩越しでもまなみが止める間もなくいなくなったのはわかった。
まあこっちに来るわけじゃないなら良いか……。
ただ改めてこんな状況で二人を意識させられると……。
「愛沙……?」
「えっ……えっと……何?」
「いや……」
何を喋ればいいかわからなくなる。
「さっき……」
愛沙がなんとか話題を見つけようと声をかけてくる。
「さっき?」
「まなみがそっちに行った時、見た……?」
「えっ」
想像してなかった話題が飛んできて戸惑っていると愛沙のほうからばしゃっと水が跳ねる音が聞こえてくる。
「見たのねっ⁉」
「いやいや! 湯気でほとんど見えてない!」
「ちょっとは見たってこと⁉」
「いや……見てない見てない!」
「そう……」
音でしかわからないが一応納得したのか座り直してくれたらしい。
と思いきやなぜか愛沙がこちらに近づいて来る音がする。
「ねえ、そっち行ってもいい?」
「愛沙っ⁉」
「心配しないでも康貴がいるとこまでは行かないわよ。ちょっと近くにいくだけ」
「そうか……」
一瞬ちょっと残念と思う気持ちが沸き起こったが頭の隅になんとか追いやった。
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