女神強襲
授業を挟んでなお、「なんなんだあいつ……?」「なんで高西さんが……?」という声と視線が突き刺さる。
「はぁ……」
「なんだなんだぁ? 男子みんなの憧れに声かけられてため息とは結構なご身分だな?」
ニヤニヤと暁人が顔を近づけてくるので八つ当たり気味に頭を小突いておく。
あの後すぐに授業に入ったはいいものの、消化不良気味のクラスメイトたちは授業が終わった途端ざわつき始めた。中にはこちらを射殺すかと思わんばかりの視線すらある。
「くそ……あいつもうちょっと自分の影響力を考えろ……」
「そりゃあお前、これまで話してなかったツケだろ。家まで行っておいて釘刺してないんだから」
まぁ確かに、そう言われればまあ俺にも非が……いや納得できねえ。
「ま、後は帰るだけだろ」
「だから気が重いんだよ……」
休み時間と違って終わりがないんだ。終わるまでも長い。
「向こうはいつもどおりってのもまた、ほんとに差を感じるなぁ」
暁人のニヤニヤが止まらない。こいつは人の不幸がそんなに楽しいのか……。
「流石にあの辺は、情報のキャッチアップがはやいな」
「それがまぁ、数少ない救いだな」
愛沙の周りに集まるのはクラスの中心人物たち。愛沙の家に行っていることも、その理由も、本人からでなくとも情報収集はできる人間たちだ。
だからまあ、特段いつもと変わりなく過ごしている。あのあたりから敵意をむき出しにされると学校生活に影響を及ぼしかねないのでその点は非常に助かっていた。
「ま、良い思いした分少しくらいは苦しんで――」
「康貴にぃぃぃぃいいいいいい!」
暁人の楽しそうな声は思わぬ乱入者の声でかき消された。
いい気味だと思う暇もない。最悪のタイミングで最悪の乱入者が来た。
「まなみ?!」
俺より早く愛沙が反応する。窓側の俺よりも扉に近いからな。
「あ、お姉ちゃん! もうホームルーム終わった?」
「まだよ。ちょっと外で待ってなさい」
「はーい。康貴にぃ! また後でね!」
ブンブンと俺に手を降って扉から離れるまなみ。
扉と俺を交互に見るクラスメイト。
視線とざわめきは先程までに比ではないほど膨れ上がったところで、担任がやってきてホームルームとなった。
「最悪だ……」
うなだれる俺を、やはり楽しそうな暁人が笑いながら肩を叩いていた。
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