♭067:新進かーい(あるいは、煌々/メルチック/1ヒンガー)
ドゥン……みたいな擬音が、張り詰めた空間に響き渡っていくようであり。
テーブルを挟んで、私と池田リアはベンチに腰かけて対峙している。面と向かっての流れる空気には触れるだけで起爆しそうなほどの何かが満ちているように思われるけど、ぱっと見は女友達二人が仲良くランチしてる図としか見えない。
広げかけられたランチボックスの横には、既に「アプリ」が立ち上げられたスマホが緑色の画面を発光させながら鎮座している。
スマホの端子からは二股に分かれて伸びる鮮やかなパステルグリーン色のケーブル。それらは私と池田、双方の手首に嵌められた同色の「バングル」へと繋がれている。手首に嵌めたそれからも細いケーブルが張り出していて、それは中指に覆い嵌めた指サックのような形態のモノへと連なっている。
この装置によって、何らかを測って勝敗をつけるってやつなんでしょ? いつぞや例のアオナギの借金のカタとして取り上げたことあるから見た事はあるけど、出品したら結構な額でハケたっけ。
「『ダメ人間ウォーズ』。御存じとは思いますが……」
池田が畏まった感じで言いつつ、画面にその細く整えられた指先を踊らせる。御存じあるかー、と思うも、そこで後手を引きたくなかった私は鷹揚に頷くに留めるけど。要はDEP撃ちゃあいいんでしょ?
「持ち時間は『3分切れ負け』です……『着手ボタン』を押下している間だけ、喋ったことがDEPとして認識されます。早押しスタイルですので、任意のタイミングでこの『ボタン』を押しながらDEPを放ってください。先に着手した方が自動で『先手』と認識され『評価点』に『1.2倍』の補正が掛けられます。これは昨今言及され始めた『後手番有利』の差異を埋めるための措置でして、本年度より採用となりました」
いや、つらつらと説明し始めたけど。流石手慣れておる。
「オンラインで全国から選抜された『評価者100名』が『持ち点100点』の中で評価を下します。流れの注意点として、先手着手→先手評価が終わった時点から『10カウント』の間に、後手番となった者は『着手ボタン』を押さないと『着手なし』と判断され『0
うん、よどみない説明、他に生かしようは多分にあると思うよ?
「先手後手のDEP評価が出揃った時点で、勝者の
ふんふんと聞いていた私だが、ん? 何を押し入れ? 何だって?
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