異世界に行く方法その84

「最近はインスタントのコーヒーもうまくなったよな?」

「そうですねぇ」



 宗麟とツィタニアはコーヒーを飲みながら雑誌を読んだりタブレットを見たりくつろいでいる。その様子にアズリタンはミルクがたっぷりのカフェオレを見てからこう言った。



「余も貴様等が飲んでいるその黒い飲み物がいいぞ! かっこいい!」

「魔王サマ、眠れへんくなるぞやめとき」

「そうですよ。お昼寝を繰り返して夜に眠れなくなった時があったでしょう? 私は嫌ですよ? また夜通しトランプに付き合うとか……」



 子ども扱いを受けるアズリタンは面白くない。



「貴様等言わせておけば! そんな物飲んでも眠れなくなるわけなかろう! 馬鹿者めがっ!」



 宗麟がホームルームに、ツィタニアが食休みで眠っている間にアズリタンはインスタントコーヒーの瓶を取り出し、アズリタンの取っ手が二つあるマグカップにドバドバと入れ、ティファールのお湯を注いだ。



「うむ、うむうむ! 中々に良い香りではないか、あやつらこれが美味いから余にだけの増せなかったのではなかろうな?」



 そしていざとアズリタンはコーヒーを一口ふくむ。そしてそれを噴いた。

 ズフォオオオオ!



「苦い! 不味い! なんぞこれは! こんな物をあやつら飲んでおるのか? 何故? さ、砂糖か? 砂糖を入れれば美味いのだな?」



 アズリタンは角砂糖をボタボタと10個入れそれをかき混ぜて飲む。



「うむ、少しマシになったが、まだ足りんな」



 さらに10個角砂糖を足す。そしてそれを一口。それは奇跡的にアズリタンの口にあった。そしてそれを飲み干す。



「美味い! ほれ、見て見ろ! 奴等め余にだけこんな美味い物を飲ませないとはな。極刑に処さねばならんなしかし!」



 アズリタンは初めて飲んだコーヒーというものがいかに劇物であるかを知る事になる。一日中テンションが高いアズリタン。何をしていても熱で頭がおかしくなったかのようによくしゃべり、やたらと空まわっていた。宗麟が自宅に帰り、部室で一夜を過ごしているアズリタン。全く眠たくないのである。そして隣で大口を開いて寝ている精霊王ことツィタニア。

 寝息を立てて寝ているのは実に気持ちよさそうだった。



「余も寝るか」



 アズリタンは事の重大さに気づくことになる。



「寝れん!」



 一度寝れないというストレスはすぐさま脳を覚醒させ多大なストレスを与え続ける。このままではいけないとアズリタンはツィタニアをゆすって起こそうとするが全く起きない。



「精霊王。そんなところでねておったら風邪をひくぞ……精霊王、おきてぇ!」



 アズリタンの体内のカフェインが切れてきて次は鬱症状が出始める。結局寝れずに夜を明かしたアズリタン。日の出を見ながら遠くの空を見つめて言う。



「コーヒーなんぞ二度と飲むか」

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