異世界に行く方法その80

「宗麟、さすがにそのハーブを使うのはヤバくありませんか?」

「うむ、そうだぞ小僧! 少し考えなおせ!」

「何言うてんねん! ここまできたんや! もう使ってナンボの世界やろうが」



 土曜日に宗麟と精霊王ツィタニアと魔王アズリタンは、ある物を作る為にとあるハーブ専門店にやってきていた。



「今、世間で問題になっている脱法ハーブ。所謂危険ドラッグやな! それらも昔は普通に売ってたらしいんや。で、俺らが今日買いに来たこれらももしかしたら、法的にアウトになるかもしれへん」



 そんなヤバい物を買いに来たのかとツィタニアとアズリタンは青い顔をする。今まで色んな異世界に行く方法を試してきたが、場合によっては今回の方法はトップクラスにヤバいかもしれない。



「宗麟、一体何を作ろうとしてるんですか? 異世界に行けるかもしれない食べ物って……もしかしてですが」



 ツィタニアが言葉を濁す中でアズリタンは真顔でこう言った。



「麻薬ではないのか? さすがにそれは余も黙ってはおれんぞ?」

「へぇ、ちなみに魔王サマの魔王軍とやらで麻薬の使用は?」

「死罪だの。あんな物、小僧の国の言葉を使えば百害あって一利なしだの」



 魔王というのは悪の総大将であり、魔王軍は悪の軍団のハズなのだが、そんな場所でも麻薬は危険視され重罪が課されるというのは面白いなと思いながら宗麟は言う。



「安心せいや。麻薬なんてこの日本で普通に買えるわけないやろ? まぁ、ある意味ぶっ飛ぶくらい美味いから異世界行けるんちゃうか? って俺は思ってるわけや。とりあえず精霊王サマ、これをすりつぶしてくれや」

「これをですか?」



 すりつぶせば黄色くなるそれ、アズリタンは今だに固まっている中で宗麟はアズリタンにも一つのハーブを渡す。



「魔王サマはこれや」

「なんだこれは?」



 オレンジ色の何か、それを数回繰り返す。その間に宗麟は玉ねぎを刻み、豚のブロック肉を大き目に切った。



「じゃあ順番にこれを入れていく。精霊王サマが細かく潰したターメリックや。んでチリパウダー。魔王サマが潰した鷹の爪、それからクミンとコリアンダー。そしてブラックチョコレート。究極のトリップ料理。カレーライスの出来上がりやでぇ!」



 あの固形のルーで作る物だと思っていたツィタニアとアズリタンだったが、今はじめて自分達はカレーを作っていることに気づいた。炊き立てのご飯の上に自家製カレールーで作ったそれをかけて三人は口に頬張る。



「うまっ!」

「おぉ!」

「あら、これは!」



 三者三葉の反応。されど、感想は同じ。ただただ美味いという事。三人はこの瞬間だけは異世界に行く事なんてどうでもいいやと思いながら競うようにお替りを繰り返した。

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