異世界に行く方法その77

 ジャラジャラと音をたてながらオカルト研究部で宗麟とツィタニア、アズリタンは渋い顔をして麻雀パイを混ぜる。宗麟は何かを咥え、さらに口から白い煙を吐く。一見すれば高校生が喫煙しているように見えなくもない。宗麟の口中に入っているものは、ドライアイス。そして咥えているものは……シガーチョコレート。

 カラン。

 音を立ててツィタニアは大きな氷が入ったウィスキーグラスを揺らす。琥珀色の液体を口に含むと少し目を瞑り、口の中で転がしそして喉の奥に流し込む。



「ロン! メンタンピン。ドラドラ」



 無言で点棒を渡す宗麟。そこで割りばしをわざとらしくバチンと割って、アズリタンがビックカップヌードルをずるずると食べる。



「余が、親だな」



 再び三人は麻雀パイを混ぜて積み始める。三人は異世界に行く方法を探す事を諦めて博打に身を投じているわけではない。

 なんとなく漫画を読んでいたツィタニアが見つけたある一節。

 天衣無縫という麻雀役をそろえると死ぬとまで言われ、死んでももその役は揃わないと言われている。またの名を九連宝燈と言う。簡単に宗麟が麻雀の手ほどきをして、おのおの麻雀漫画に影響されて今にいたるのである。

 何巡が進めて行く内に得意な待ちや役を覚え、今や天衣無縫等を狙おう等とは誰一人として考えてはいなかった。



「ロン、東のみ」

「こぞぉおお! 貴様ぁ! 余の親をそんなゴミ手で流しよって」

「じゃかあしい! 勝負の世界のゴミもクソもあるかいな。次行くで!」



 妙にぎすぎすしだす部室内。ツィタニアは琥珀色の飲料。麦茶を一口飲んで冷静さを取り戻す。



「魔王、それに宗麟。我々三人はこの麻雀という遊戯で勝負をする為にこれを始めたわけではないハズではないでしょうか? 目的が変わってはいませんか?」



 宗麟もアズリタンも気にしないようにしていた事をつかれて、頭を抱える。漫画に影響されすぎた。そもそも、本来幾何学的な確率でしか上がれない麻雀役を目指していたハズなのに、いつのまにか麻雀という博打に心奪われていた。



「このチーポンにやたらと似ておる博打があまりにも面白すぎて、心囚われておったわ! くそう! 仕切り直しだ!」



 負けがこんでいるアズリタンはそういうも宗麟はそれを認めない。



「そういうても、魔王サマのオヤツは当分ないで?」

「こぞう! ごしょうだ! 博打など身を亡ぼすだけぞ? 余達は崇高な考えのもの、その天衣無縫とやらを目指すのであろ? なぁ? あろ?」



 可愛く首をかしげてみるが、残念ながら宗麟にロリ属性は無かった。そもそも妹もいるので、妹への幻想も持っていない。

 結局、天衣無縫をそろえる事なんてできず、結論として異世界に行けるのかは分からないが、三人は博打の恐ろしさはある種異世界に行くレベルの破壊力だと知った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます