異世界に行く方法その74

「まずは魔法のエキスパートであるお二人さんに質問しまーす」

「なんだ?」

「なんですか?」



 魔王アズリタンと精霊王ツィタニアは部室のソファーでくつろぎながら死ぬほどつまらなさそうに宗麟の質問に反応する。宗麟からすれば魔法はまさにロマンの一つなのだが、彼女等からすれば魔法なんて息を吸って吐くくらいあたりまえの力。



「魔法なんてある日突然使えるようになったから、教える事なんぞないがのぉ!」

「ですよねぇ魔王! 魔法が使えないなんて生まれた赤子までですよねぇ!」



 若干、何等かの同人誌を思い出しながら宗麟も二人に言う。



「いや、お前ら魔法今使われへんやん。ちゃうか? 魔法を使えるようになった時の事思い出せば、使えるんちゃうん? なぁ?」



 それを言われるとツィタニアもアズリタンも言い返せなくなるのだが、ふと自分達が魔法を使えなくなった原因。



「そもそも、こぞぉー! 貴様が余をここに呼び出しおったから魔法を使えんではないか、馬鹿者がぁ!」



 宗麟は鋭い目つきでアズリタンを睨みつける。それにちびりそうになりながら、アズリタンは身構える。



「な、なんぞ?」



 宗麟は四十五度の角度で礼をすると謝罪。



「その節はすみませんでした。まぁすぎた事をごちゃごちゃいいなや! それより、どうやって魔法を使えるようになったか思い出してみぃ」



 ツィタニアとアズリタンは顔を見合わせて考える。そしてどう同時に宗麟に応えた。



「「ある日突然!」」

「あかんわ……俺の魔法というロマンへのキャンセルが今確実になった。まぁとにもかくにもある日突然使えるようになるんが魔法なわけか、で俺の世界やと魔法が使われへん……前々から考えている魔法力復活をそろそろ考えていたんだがな……いったん保留としておくか」



 以前お花が沢山ある公園に行った時、ツィタニアは確かに一度魔法を使った。条件さえ合えば魔法を行使する事が可能であると宗麟はずっと思っていた。



「最強のパワースポットで少しでも魔法が使える可能性を上げる為に、今日はこれを試して頂きます」



 そう言って宗麟がツィタニアとアズリタンの前にコストコで購入してきた巨大ピザを用意した。



「おぉ! うまそうだの!」

「丁度塩辛いものが食べたいと思っていたんですよぅ!」



 二人は巨大なピザの一ピースをぱくりと食べる。そしてツィタニアは目を丸くして叫んだ。



「す、すぱいしぃーーー! 宗麟、これ何入れたんですか?」

「デスソースを二本分トッピングいたしました」



 火を噴くというのはこの事かと宗麟はもだえ苦しむツィタニアにコーラを渡し、アズリタンを見つめる。



「あーん! 中々辛くてうまい!」



 予想外の展開に宗麟はアズリタンが次から次へとピザを食べ、窓の外に向かって吼えた。



「力が漲りよるわ! そぉーれ! 滅びの雷!」



 上空に真っ黒な雷が走る。それは紛れもない魔法。アズリタンも魔法が使えた事に悪い顔をしてから残りのピザを食べ、ツィタニアに向かって手を向ける。



「死ね! 精霊王」



 宗麟はあきれた目でアズリタンを見る。宗麟の予想通り魔法は発動しない。宗麟はこの世界での魔法の理屈について一つあたりをつけ、異世界に行く方法に必要な条件を一つ確信した。

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