異世界に行く方法その68

「京都? それはあの京都ですか?」



 ツィタニアは宗麟が持ってきた課外学習のしおりを見てそう呟くので宗麟はそこにツッコんだ。



「精霊王サマ馴染みすぎやろ、まぁ漫画もアニメも大分関わってきたし、大体東京か京都が出てきよるもんな。その京都に俺らの学年が行く事になりましたぁー、京都は日本でも有数のパワースポットやからな、できれば精霊王サマと魔王サマを連れて行きたいと思う。ここまでえか?」



 レトロゲームをしながら魔王アズリタンはポッキーに手を伸ばして宗麟に尋ねた。



「こぞぉー! そのきょうととやらは美味い物があるのか?」

「あるでぇ! 湯豆腐にハモ料理、京野菜に焼きサバ、湯葉。そして忘れたらアカン宇治抹茶。上品な王サマが飲み食いするようなもんばっかや! 建物もどえらい風情あるもんばっかりや! 元々、この国の中心やった場所やから京の都、で俺らがおる東京は東に京の都を移したんが東京都やねん」



 日本人なら誰でも知っている豆知識だがツィタニアとアズリタンは感嘆の声を上げる。そしてその京都へ行きたくて仕方がないとう顔をする二人に宗麟はうんうんと頷き、そして電卓を見せた。



「なんです宗麟?」

「なんだそれは小僧?」



 宗麟の電卓が示す数字は60000という大きな数字。それは何を意味するのか? ツィタニアは少し気づくと宗麟に聞いてみる。



「それはまさかお金の単位でしょうか?」

「さすが精霊王サマやな! 二人が飲んどるコーラが一本百円や。それが六百本買えるくらいやな」

「で? その六百本コーラが買える金額が何だと言うのだ小僧よ?」



 アズリタンが空になったコーラの缶をゴミ箱に向けてポーンと投げる。それが綺麗に入るとアズリタンは小さなガッツポーズ。その機嫌がいい状態で宗麟の言葉を待つと宗麟から出た言葉。



「精霊王サマと魔王サマの旅費や、俺は学校の行事で行くねん。だから、二人を連れていけへん上にめちゃくちゃ金かかるわけや、せやから二人はバイトをしてもらうでぇ!」



 そう言って宗麟は造花を作るセットを大量に用意すると二人の前で一つ作って見せた。その手際の良さにツィタニアとアズリタンはおぉと感嘆する。段ボールで三十個。それをツィタニアとアズリタンの前に置いてからこういった。



「課外学習二か月後やから、それ二か月以内に全部仕上げてな? じゃないと京都行く旅費稼いでや!」



 最初こそツィタニアとアズリタンは挑戦するが一つ作るのに随分時間がかかるそれ……そんな造花を前に心が折れそうになるされど、その京都に行く為には六万円という大金が必要。



「魔王、ここは共闘しましょう。下手すればこの業務を終える事で私達は異世界に行けるかもしれませんよ!」



 アズリタンはマーブルチョコレートをぱくりと食べながら造花を作る内職を前に立ち向かった。



「精霊王、今回かぎりだぞっ!」



 二人は血の涙を流す程の内職をはじめるが、これは全て異世界に行く為の道標。

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