異世界に行く方法その66

「ほい、精霊王サマと魔王サマ、りんご飴買うてきたでぇ!」



 そう言って宗麟は二人に出店のりんご飴を配る。リンゴが飴でコーティングされたそれを見てツィタニアとアズリタンは同じ感想を述べた。



「美しい! 余の為にあるようなお菓子ではないか!」

「これは非常に美しいですねぇ」



 今回三人は神田明神のお祭りにやってきていた。宗麟の母と姉に手伝ってもらいツィタニアとアズリタンは浴衣を纏っている。いつのまにか女友達が増えた事にニヤニヤとされたが、代わりに女の子をちゃんとエスコートするようにと母親が福沢諭吉を宗麟に小遣いとして差し出したので少しばかり余裕がある。

 宗麟はキツネにヒーローに魔女っ娘のお面を買うとどれがいいか二人に聞いたところ、アズリタンはヒーロー、ツィタニアはキツネ、という事で宗麟は魔女っ娘のお面をつけてお祭りを歩く。



「こぞー! こぞー! ばそきや! ばそきやが食べたいぞっ!」

「なんやそれ、ひらがな読めるようになったと思ったら……あぁ! なんでか出店って逆に書いてるやつあるよな。やきそばな……」



 そう言って宗麟は二人分焼きそばとラムネを買って座れるところを探す。人込みの中奇跡的に飲食スペースが開いていたのでそこに腰をかけて、それらを食べる。実際そんなに美味しくはないのだが、祭りの雰囲気の中と海の家で食べる焼きそばは恐ろしいくらいに美味い。



「んんっ! 宗麟この焼きそば!」

「うまい! うまいぞこぞぉ!」

「そうかい、そりゃよかったな! ところで、ここには遊びに来たわけじゃありませーん! はい、このお祭りですが、死者や神様、妖怪。まぁ二人に分かりやすく言えば魔物やモンスターが紛れているといわれてまーす! これは世界共通やな」



 二人にとっては……というより大半の日本人にとっては古き良きテーマパークであるお祭り。それがそんな危険な場所である事に、ビー玉が飲み口を塞いで全然ラムネが飲めない二人は固まる。



「よう見てみ、ビー玉ひっかけるところあるやろ? そこに上手く乗せて飲むねん!」



 宗麟に言われたように飲むとすんなり飲める事に二人は感動する。機嫌をよくしたアズリタンが跳ねるように宗麟の元へ近寄ると言った。



「今日は気分がいい。この祭りとやらに有象無象が紛れておるなら余が倒してやろう!」

「ちゃうちゃう魔王サマ、倒してどないすんねん! そいつらどっから来てんねん? 異世界やろ! という事で、今日は怪しい奴や場所を見つけるでぇ! ついでに出店楽しみながらな! ある意味この祭りっちゅー空間はほんま異世界やからな! 普段やと絶対買わへん衛生上どうなん? っていう食べもんが異様な価格帯で売られとる! 見てみぃ!」



 とうもろこしを焼いて醤油を塗ってあるなんとも空腹を刺そう食べ物。それに対してアズリタンとツィタニアは正直に美味しいそうだと感じていた。



「あれがどうしました宗麟?」

「実にうまそうだ。喰いたいぞ」



 そんな二人に宗麟は答えた。



「あれ、家畜の餌やで? あんなんをアホみたいな値段で売っとる。それが祭りや!」



 宗麟は両手w広げて二人に祭りとはある種の異世界空間である事をじっくり教え、そしてお祭りの後半戦が始まろうとしていた。

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