異世界に行く方法その63

「おぉ! こぞー、精霊王! みよ! 魔王が主役だぞっ! 見よ見よ! はよぅ! 見よ二人とも!」



 宗麟の持つラノベやアニメの中から魔王が主役の作品を見ては喜ぶアズリタン相手に宗麟もツィタニアもその相手をするのが正直面倒だった。



「あぁ、まぁ勇者くらい魔王も人気あるからな。そして、言われんでもその作品俺も精霊王サマも穴が開く程みたからなぁ~。そんな事よりなんかないん? 異世界に行く方法」



 それに関してツィタニアがツッコむ。先日宗麟はパワースポットに行くという話をした事を想いだす。



「なにやら異世界に行けるような聖なる場所に行くというお話ではありませんでしたか?」

「いや、毎回毎回パワースポットに行ってたら金無くなるわ! という事で今回は三人おる事やし、”こっくりさん”をしようと思いまーす!」

「”こっくりさん”?」

「なんだそれは小僧。さん付けという事は偉い奴か?」

「まぁ、偉いというかヤバいやつだな」



 宗麟は紙にあ~んまで、そして数字に鳥居を描いてそこに十円玉を置いた。そして宗麟はいつも通り簡単な説明をする。



「この十円玉に指を置いてこっくりさん、こっくりさん。おいでくださいと唱えるんや! んで聞きたい事をこっくりさんに聞く。するとこっくりさんがその十円玉に乗り移り俺らに色々な事を教えてくれるっちゅー寸法やな! とりあえずやってみんで!」



 ツィタニアとアズリタンはこういう呪い系に関しては真面目に聞く。そもそもが魔法の国出身という事も非常に強いのだろうが、宗麟的には大人しくて助かるお話だった。宗麟が十円玉に指をのせているとツィタニアにアズリタンものせる。準備が整った事に宗麟は頷くと大きな声で呪文を唱えた。



「こっくりさん、こっくりさん。おいでください! そして俺達の質問に答えてください!」



 ツィタニアとアズリタンは顔を見合わせて頷くと宗麟の言った呪文を反復した。そして宗麟は一つ質問をする。



「えぇ、部室の冷蔵庫に入れていた俺のプリンを喰った犯人は誰ですか?」



 そして十円玉が動く。あ・す・り・た・ん。それにアズリタンは大声で叫んだ。



「何故分かった! こっくりとやら出てこい! ひ、卑怯だぞっ!」



 十円玉に指をのせていない方の手でげんこつを作ると宗麟はアズリタンの頭にそれを叩き落とした。

 ゴン!



「い、痛いっ! 何をするこぞー!」

「それはこっちのセリフだ魔王サマ! 魔王サマの分は別に買ってただろうがボケがっ! まぁええわ! 次行くで! こっくりさんこっくりさん。異世界に行く方法を教えてください!」



 ごくりと誰かが喉を鳴らした。もしかして教えてくれるのか? 十円玉はゆっくりと動いた。し・ら・ん。



「なんだ役に立たん奴だなっ! しらんのか!」



 そう言ってあずりたんは十円玉から指を離した。それに宗麟は思わず叫んだ。



「魔王サマ、こっくりさんを御社に帰すまで指はなしたらあかん! 誰かが呪われる」



 それを聞いたアズリタンは涙目で宗麟に言う。



「ど、どうしよ……」

「知らんわ! それより皆なんともないか?」



 なんともないが、外が騒がしかった。運動部の生徒の誰かが発狂してキツネのような鳴き真似をして走り回っているとかを聞き、宗麟は十円玉に指を置いてから再びこう言った。



「こっくりさん、ええかげん帰れ!」



 遊び半分で降霊術をしてはいけない。

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