異世界に行く方法その60

 宗麟とツィタニアとアズリタンの三人は歌舞伎町にやってきていた。ヘンテコな服を着ているツィタニアとアズリタンだが、この歌舞伎町という街はヘンテコな人間が多い故にあまり誰も気にしない。



「コゾー! おい、コゾー!」

「なんや魔王サマ」



 宗麟の袖を引っ張ってアズリタンが指を指す。宗麟とツィタニアが指指す先を見ると伸びるチーズの何かを食べている若者達。



「あれを食べたいゾ!」



 今回、そんな物を食べに歌舞伎町にやってきたわけではない。もちろん異世界に行く為の方法を調べに来たのだが……



「まぁええか。精霊王サマも食うか?」

「えっ? いいんですか?」



 宗麟は財布を出すと店員に話しかける。



「お姉ちゃん、そのチーズはっとぐ三本頂戴」



 宗麟が購入するとそれをツィタニアとアズリタンに渡す。アズリタンは大きく口をあけてそれを食べ、チーズを伸ばす。



「うまぁ! なんだこの食い物は!」

「チーズと餅やったかな? それを揚げたくいもんやな。まぁそれ食いながらでええわ! 一応、東京に異世界があるとしたら、この歌舞伎町や! 俺の住む神保町の古書店にお前らを召喚する本があったんやったら、歌舞伎町には異世界に行く扉くらいあるんちゃうかって思ってな? 今回は今までとちゃうくて、この街うろついてみよーかなってな!」



 ツィタニアはそれ故、アズリタンが食べたいと強請る事を普通に許可したのかと頷く。そんなアズリタンは宗麟の手を引いて指を指す。



「コゾー、あれはなんだ?」

「忍者屋敷や、歌舞伎町のスーパー不思議スポットの一つやな!」



 大人の街、危ない街と思われがちな歌舞伎町だが、子供連れで遊びにいけるような場所も実は数多くある。

 アズリタンが興味津々に見るので宗麟は苦笑してから言った。



「入ってみるか? 魔王サマ」

「よいのか? 地獄に変えるやもしれんぞ?」

「無理やろ。忍者やぞ! 魔王が勝てるわけあらへん」



 ツィタニアは魔王アズリタンが宗麟と手を繋いで忍者屋敷に進んでいく姿を見て妙に腹が立った。



「魔王! 宗麟をあまり困らせるものではありませんよ!」



 ツィタニアにそう注意されたアズリタンはツィタニアを見て鼻でフンと笑う。



「なんだ? 妬いておるのか?」

「違いますよもう!」



 そんなギスギスした状態で忍者屋敷に入った三人。退出する頃には興奮いまだ冷めやらぬ。


「なんですかあの忍者とかいうカッコいい連中は!」

「手裏剣、余も手裏剣を投げたいぞ!」

「異世界の連中にも人気やな忍者……」



 歌舞伎町には忍者屋敷はあるが、異世界への扉はない。

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