異世界に行く方法その59

 精霊王ツィタニアは妙に狭く感じるオカルト同好会の部室内にて警戒しつつ、部屋を狭く感じさせる存在について宗麟に物申した。



「宗麟、この魔王どうするんですか?」



 宗麟が売店で買って来たあんパンやメロンパンを美味そうに食む魔王と呼ばれた少女を横目に見つめてからため息を吐く。



「ちょう、ほんまにあの小娘が魔王なんか? 俺の知る魔王って言うたらさ」



 宗麟が数学のノートにさらさらと書いて見せたおぞましい姿のバケモノ。それを見てツィタニアは声を上げる。



「ひぇえええ! なんですかぁこの怪物わぁ! こんなの出てきたら世界の終わりじゃないですか!」

「いあ、それが魔王っちゅー認識やねんけど、そこでパン食うとるやつは、ただの大きいお友達に媚びうる系の魔王やな。というか日常系のキャラや」



 宗麟は自分の想像する魔王ではないこの魔王をボロカスにけなす。それに食べている手を止めて魔法は牙を見せて笑う。



「どうやら死にたいようだ。人間」

「お前は黙ってメロンパン喰っとけ」



 宗麟がそう言うと魔王はメロンパンをがつがつと食べて終えてからない胸を張ってみせる。



「この世界の食いものは中々に美味い。どうにか余の軍勢をこの世界に引き連れ支配してみせようか!」



 宗麟が魔王の頭を撫でてから言う。



「デキタライイネ!」

「うん! じゃねぇ! 余の頭を撫でるなっ! 貴様無礼にも程があるぞ!」

「てめぇも居候の分際で偉そうすぎるだろ。クソみたいな異世界に帰れっ!」



 魔王は自分の世界の事を思い出して瞳に涙を浮かべた。



「おぉう……帰れるものなら帰りたいわぁ……貴様が呼び出したのであろうが? 元に戻さんか」



 それに宗麟は魔王を睨みつける。



「な、なんぞ? 余とやる気か?」



 宗麟は四十五度の礼をして言った。



「すみません」



 この謝罪はデジャブするなとツィタニアは思いながら魔王を見下ろす。



「魔王、貴女も私も帰れませんし魔法も使えません」



 薄々気づいていた事を言われ魔王は崩れ落ちしくしくとなく。それに宗麟がどうしようかとツィタニアを見つめる。



「知りませんよ。……私も帰れないのですから」

「魔王サマ、俺は成宮宗麟だ。精霊王サマも魔王サマも元の世界に戻してやる。まぁだからそんなくよくよするな。とりあえず、菓子パン食え。そして俺と精霊王サマと手を繋いで宇宙人にお願いや!」



 今回はチャネリング、宇宙人のオーバーテクノロジーで異世界に送ってもらうという宗麟の作戦。



「この魔王アズリタンが何故、敵対している精霊王なんぞと手を繋がねば……」

「えぇから繋げや!」

「貴様ぁ! 怖いからその喋り方をやめんかっ!」

「魔王、宗麟は喧嘩腰ではなく、それが普通なのですよ。とりあえず言う事を聞いて試してみましょう」

「むぅ……致し方なし」



 三人は手を繋いで叫ぶ。



「「「あぶだくたー!」」」



 空を見上げてから宗麟は言う。



月が綺麗ですねあかんかったな



 魔王アズリタンが呟く。



「なんだこれ?」

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