異世界に行く方法その57

 宗麟とツィタニアはミスタードーナツにやってきていた。ドーナツを美味しく食べるという事が当然、目的ではない。ミーティングである。何の? 当然、異世界に行く為の方法についてである。



「精霊王サマ、いい加減何か掴めないと思ってるんやけど、いまだに俺達は異世界に行く方法に関して何ら触れちゃいない。違うか?」



 そう言いながら宗麟はチョコファッションを頬張る。それにツィタニアは頷きながらポンデリングを手に取った。



「そうですねぇ、宗麟の考える方法のいくつかはあまりにもネタと言いますか? やる気あるのでしょうかと言わざる負えない物が多いですからね。もう少し真面目に考えて見てはいかがでしょうか?」



 二人は適当に注文したドーナツの山を前にしてコーヒーを啜りつつ、話す。



「あんな? 精霊王サマが召喚されたのだって、俺が適当に買ったいかがわしさ抜群の書物から召還されてんねんで?」



 まぁ確かにと思ったツィタニアだったけれども、すぐさま訂正にかかった。宗麟の解釈ではあまりにも……自分が惨めすぎる。



「ちょっと待ってくださいよぅ! 宗麟、それでは私が如何わしい存在みたいじゃあないですかぁ!」

「そらそうやろ、だって精霊王サマ、そもそも魔法とかも使えへんし、出てきた時も正直頭にお花乗せてたし、大分いかがわしさ爆発やったで」

「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよぅ! それは宗麟のせいじゃないですかっ! 魔王と最終決戦中に私は最強の精霊魔法をぶっ放し、戦いに終局を迎えていたハズなんです! 私を待っているミィエリア達の事を考えると不憫でなりません」



 宗麟は少しだけ考えた、ツィタニアが精霊王という地位にいてそれなりに強かろう、そこでそのツィタニアが突如抜けて目の前には倒すべき強大な敵。魔王。



「なぁ、精霊王サマ。お仲間……もうアカンのちゃうか?」



 今更ながらツィタニアも気づく、随分と長い間宗麟の世界に自分がいる事。同じ時間を過ごしているなら流石に戦いは終わっているだろう。対魔王用の決戦魔法が使えるツィタニアが抜けた事で、戦局は大幅に魔王寄りになったかもしれない。



「ちょっと! やばいじゃないですか! 何か、異世界に行く方法を」

「ミスドのブレンドコーヒーは飲み放題です」

「それが何か?」

「ドーナツは砂糖と油分の塊です」

「ですから、それが何か!」



 宗麟はドーナツをパクリと食べ、コーヒーをゴクリと飲む。そして言った。



「カフェイン、砂糖、油分は全て少なからず麻薬効果がある。それを一気に大量摂取で行けるかもしれない……ごめんなさい無理や!」



 言ってすぐに言葉を返した宗麟だったが、藁にもすがる勢いでツィタニアはコーヒーのおかわり、そして山程あるドーナツを胃に押し込んで行く。



「きゅう……」



 ツィタニアは急激なカフェインの大量摂取と、ドーナツの摂取で一気に血糖値と興奮作用があがりぶっ倒れた。救急車を呼ばれそうになったところ、ツィタニアを担いで宗麟はミスタードーナツから退散。



「帰りにラーメンでも喰うて帰ろ」

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