異世界に行く方法その56

「精霊王サマ、ガチャや! ガチャ回すでぇ!」



 そう言って宗麟はツィタニアにスマホを見せる。いつも宗麟が暇な時間にプレイしている実につまらなさそうなソシャゲである。宗麟はソシャゲ中毒というわけでもないハズなのだが、今日に限って妙にそのスマホのゲームをツィタニアに見せてくる。



「なんですか宗麟? そんなスマホゲームで異世界に行けるわけないでしょうに」

「精霊王サマも段々俺の世界に染まってきとんなぁ! ちゃうねん! 今回はジンクスを使っての異世界に行く方法の調査や!」

「ジンクスですか?」



 宗麟の今回の方法をツィタニアは説明されて、少しばかり興味を持った。簡単にいえば宗麟はこのゲームにある最高レアが出る方法のジンクスを試すというのだ。



「今回は、このゲームにピックアップされたアホの子、精霊王サマみたいな脳天お花畑の男の娘キャラをゲットする為にまことしやかに囁かれとる方法を試すで! 俺がこのキャラやのーて、別のキャラクター狙いで貯めに貯めまくった110連分と50回分のチケットをぶん回す。これで最高レアでーへんかったら、俺泣いてまうかもしれん」

「無課金なら別に良いのでは?」



 と、宗麟の世界事情にまで詳しくなるツィタニアの発言に対して、宗麟は否定のひを示した。大きく口を開けて叫ぶ。



「ちゃう! 精霊王サマはなんも分かってへん! 課金して強なる奴とな? 狂おしい程の時間をかけて強なる奴とおんねん。そして俺は後者や、課金厨からしたら俺はしょぼい事言ってるんかもしれへん! せやけど、ここぞの時にため込んだガチャ素材や、分かるか? 命がけなんや!」



 うん、全然分からないとツィタニアは思ったが、宗麟がここまで本気で力説をしてくるのでそれなりに一杯いっぱいの状況なのだろう。それ故、ツィタニアは言う。



「無理にしなくてもいいんですよ?」

「精霊王サマ、そのくらいの覚悟で俺はガチャまわせ言うてんねん!」

「分かりました。で、ジンクスとやらはなんですか?」

「まず適当なキャラクター育てるでぇ! こいつの育成が大成功が出た瞬間にガチャを回していく、所謂乱数調整っちゅーやつや」



 キャラクターを育成し、大成功が出た時、宗麟の指示通りガチャチケットを使いガチャを回す。

 50回分のガチャチケットを使い切り、そして毎日のログインや詫び石で集めたガチャ素材を使っていく。その110回分の最後の一回で虹色に輝くスマホ画面。



「そ……そうりーーーん!」

「どないした! まさか出たか!」



 宗麟はスマホ画面を覗き込み黙る。宗麟とツィタニアが今回狙っていたキャラクターではない。だが……



「精霊王サマ、俺が……欲しかったキャラや」



 異世界には行けないが、運命力を鍛える事は出来るかもしれない。

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