異世界に行く方法その52

「はい、本日は花子さんに会いにいきまーす!」



 宗麟がそう言うので、ツィタニアは少し怪訝な顔で質問する。それはまさか……とツィタニアが苦手な……



「ホラー関係じゃないでしょうねぇ!」

「御名答。トイレの花子さん。日本一有名な怪奇的な存在やの! 我が校でも三階の女子トイレ奥に花子さんがおるっちゅー噂がやなぁ」

「あーあーあーあ! 聞きたくないですぅ!」

「なんで魔王やらバケモン相手にする精霊王サマが妖怪にびびんねん! まぁええわ! 花子さんの最近のヴィジュアルみたら考えも変わるやろ?」



 そう言って宗麟は、何冊かの書籍をツィタニアに見せた。それは赤いスカートを履いた目見麗しい美少女達。



「あら? とても可愛い方々ですね。これがそのトイレの花子さんなんですか?」

「そうや! めちゃイケてるやろ? こんな娘にトイレの個室で会ったらもう理性も吹っ飛ぶやろ!」



 唐突な宗麟の下ネタにツィタニアは宗麟の頭をぱしーん! と叩いた。それに宗麟は頭をさすりながら「ありがとうございます!」と一言。



「そういう事やから、ちょっとトイレの花子さんに会ってこいや!」

「ちょっと待ってください! この美少女の怪異に私が出会う事が何の意味があると言うのですか!」



 ツィタニアの言わんとしている事は最もだった。今回の宗麟の考えがいまいち読めないツィタニアだったが、宗麟は語る。



「まぁ、よう考えたら、この花子さんなんでトイレにおるんや? 一階、飲み物沢山飲んでトイレから異世界転生しようと考えたよな? でもできへんかった。せやけど、もしかするとそれはトイレの指定があったんちゃうかと俺は思うんや!」



 いまいち納得いかないツィタニアだったが、宗麟は合宿申請を出しているので、夜中に校内をうろつける。懐中電灯を持ってツィタニアは三階の女子トイレへと向かって行った。

 今回はさすがにこじつけが過ぎたかと思いながらシュガーフリーのコーラを冷蔵庫から取り出すと宗麟はそれを飲む。靴音が聞こえるので、ツィタニアが戻ってきた事に気づくと宗麟は冷蔵庫からもう一本シュガーフリーのコーラを取り出してツィタニアに渡した。



「はい、お疲れ」

「宗麟、花子さんは、どうやら不慮の事故で殺されてしまったそうです」

「は? 何言うてんねん精霊王サマ!」



 ツィタニアは語った。昭和時代に花子さんはトイレに遊びで隠れていた。同じクラスメイトを驚かせる為に……幽霊だと思って恐怖した友人は剣道部の先輩に助けを求め、剣道部の先輩は部室にある日本刀を持ってトイレへ、そしてその扉を突き刺した。



「ちょーまてちょーまて! なんやその話!」



 ツィタニアは花子が話してくれたという事だけを告げコーラを飲む。それに宗麟は静かにツィタニアに聞いた。



「精霊王サマの作り話やんな?」

「この世界の事を知らない私がそんな作り話できるわけないでしょうに」



 どうやら学校の深夜のトイレには何かがいるらしいが、異世界には行けない事が分かった。

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