異世界に行く方法その49

「こちらフェアリー1、敵の姿は見せませんどうぞ」



 ツィタニアはインカムを通じて宗麟とその他仲間たちに連絡をする。ツィタニアはその手に大きく黒い銃を握っていた。



「これが……人の命を奪う重さなのですね……魔法とは比べものにならないです」

『こちら、オカルト1。敵が集まって来とる。こっちの隊長さんと話しがついて、精霊王サマ、最終突撃命令の指令が下った』



 宗麟の声は震えていた。宗麟達は今から敵のいる前線に突っ込むのだ。恐らく、彼らが生きて帰る事はないだろう。



「宗……ブラッド1.いけません! 私もそこに」

『いや、精霊王サマは敵拠点を制圧。頼むで?』

「でも宗麟達が」

『精霊王サマ、俺らの生き様はきっと歴史が証明してくれるだろうよ』

「ダメです! そぉーーーりぃーーーん!」



 インカムの奥から聞こえてくる音は壮絶な銃撃音と、そして仲間たちが一人、また一人と倒れていく声。



「いや……みんなぁ……私が、私がこの戦いを終わらせてみせます! 私の世界とは違い、この世界の戦いは何もかも違いますが、一つだけ分かる事があります。戦いとはいつも無意味だという事です」



 ツィタニアは走った。これ以上誰の血も流させはしない。手に持っている銃を見てツィタニアはそれを地面に置く。



「私にはこの重さは必要ありません。こちらフェアリー1! 敵拠点に突入します! 誰か、誰か生きている人はいませんか!」



 誰も反応はない。それにツィタニアは歯を食いしばるとそのままで敵拠点に転がり込むように突入した。



「何処でしょう? あれを抑えれば終わりです!」



 そしてツィタニアはその目的の物を見つけた。ようやくこの大きな犠牲を払った無駄な戦いが終わると思ったその瞬間。



「フリーズ!」



 ツィタニアの頭に向けられる人の命を奪う物・銃。その瞬間ツィタニアは自分の今までの人生を垣間見た。そしてパンという小さな音が鳴る。


”ゲーム終了! 今回の勝利は赤チームです!”


 今回、宗麟とツィタニアはサバイバルゲームをしに東京某所に出向いていた。人は究極の瞬間に一瞬で人生を見るという。それは異世界に通じる扉を開くのではないかと宗麟は考え、行ってみたが、単純に楽しいだけでそれ以上でもそれ以下でもなかった。



「まぁ、戦争ゲームは戦争とはちゃうっちゅー事やな!」

「私は飛び道具は好きではありません」

「じゃあ次はスポーツチャンバラでもするか?」



 九死に一生を得ても異世界には行けない。

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