異世界に行く方法その48

「精霊王サマ、今回は久しぶりにちゃんとした異世界に行く方法を考えていこうと思う」

「ホラー系はやめてくださいよ! なんというか、怖いので」

「魔王と最終決戦しようとしてた奴がホラーでびびんなや!」

「いえ、ゴーストとかゾンビとかではなく、宗麟の世界のホラーはえもしれぬ恐怖を煽ってくるじゃないですか! なんというか、アレは精神にきます」

「まぁ、ええわ。今回は、ホラー系。というか童謡系やな。カゴメ歌や」



 かごめかごめ、かごのなかのとりは、いついつでやる。

 よあけのばんに、つるとかめがすべった、うしろのしょうめんだぁれ?



「ひぃいいなんかヤバい歌じゃないですかぁ!」

「ほう、これ昔の子供が歌って遊ぶ童謡やねんけど、何が怖いんや?」



 それにホワイトボードを使ってツィタニアは話し出した。この歌についてのツィタニア的見解。



「まず、かごめかごめ。ここは囲え、囲え。という事で何かを贄にした儀式か結界についてでしょう。そして籠。この結界か儀式の中のトリ」

「鳥居かもしれへんで、神の社やな?」

「なおさらヤバいですよ! 神が出られないという事じゃないですか!」



 意外と面白い読みをツィタニアはするものだなと宗麟は感心していた。このままもう少し喋らせてみる事にしようと宗麟は考える。



「その結界内の供物、あるいは聖なる者はいつになったら出られるのか、夜明けの晩って意味の分からない時間。これが異世界なのではないでしょうか? 鶴と亀という縁起の良い者が滑ってしまう。後ろの正面という意味の分からない場所。そこに異世界があるんですよ!」



 ツィタニアが震えながらそんな事を話すので、宗麟はうんうんと頷く。それなりにツィタニアが面白い考察をしたところで、宗麟は小さく呟いた。



「よし、かごめ歌やってみるか、今回も適当に運動部の人達に協力をつのりまーす!」



 運動場でわけを話すと協力してくれる各種運動部の部員達、宗麟の友好関係の広さと、異常なくらいに心の広いこの学校の生徒達にツィタニアは感謝しながら、地面にしゃがむ。その上を宗麟含む生徒達がカゴメ歌を歌いながら回る。



「かぁ~ごぉめ。かぁ~ごぉめ!」



 目を瞑ってうずくまるツィタニア、視界が失われるだけで妙に恐怖を感じるこの歌。最後の後ろの正面だぁれの瞬間にツィタニアは後ろの人物を当てる。



「宗麟!」



 名前を知っているのが宗麟だけなのだ。それ故、そう言って後ろを見ると、そこには宗麟の姿があった。



「おぉ、当たってもうた! 精霊王サマ、もう遅いから今日はこれくらいにして終いにしよか?」

「えっ? 異世界へ行く実験は失敗という事でいいんでしょうか?」

「あぁ、うん。そやな! 失敗や」



 妙に淡泊な返しをする宗麟を怪訝そうに思いながらツィタニアは自分の寝床兼住処であるオカ研の部室に戻る。

 かごめ歌で異世界に行く方法は……失敗?

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