異世界に行く方法その45

 宗麟とツィタニアは赤いサンタ服を支給されると腰を痛めて宗麟の部室で横になるサンタに大きな袋を渡された。子供たちのプレゼントが入っている袋なんだろう。



「なんじゃこれ? なんも入ってへんやんけ!」



 サンタは遠い目をしながら語り始めた。



「ワシ等は子供たちに嬉しいという気持ちを届けるんじゃ! 高額なゲーム機とかは親が買うじゃろ?」



 そこは親任せなのかとやる事は簡単にレクチャーされた。親御さんが用意したプレゼントにサンタ特製の気持ちとやらを振りかけていくのがサンタの仕事らしい。そう言われて、なんとなく納得がいかない宗麟だったが、少しばかりの興味があったので、その袋をサンタ担ぎしてから窓の外に停留してあるトナカイのソリに乗せると自分もソリに乗る。そして手を出してツィタニアを引いた。



「いきなり紳士的になりましたね宗麟」

「何言うとんねん! 俺はいつも紳士や!」



 ツィタニアはほんの少しであるが宗麟にドキドキしてしまっていた。それがサンタという存在に出会った興奮と宗麟に好意を持ってしまったという錯覚。所謂吊り橋効果である。

 そんなドキドキの中、宗麟達は一件目の家へと侵入する。時間は午後二十三時。今時分この時間なら起きている子供や親御さんも多い。



「FPSしとるぞここのガキ」



 宗麟とツィタニアはパソコンの画面に向かって銃を乱射する子供を遠くから観察する。そしてこの子供のプレゼントは何処か?



「宗麟、サンタさんの袋が光ってます」

「マジか!」



 中に手を入れると何やらレーダーのような物が見つかった。それを持って宗麟はこっそり家に侵入する。



「両親は寝静まってる……というかおらへんな? クソみたいな家庭環境の子供やの。プレゼントは……」


 

 両親の寝室らしきところに到達するとその扉を開く。そこにはなにやら梱包された箱。



「これは……最新型のフウジン。CPUや! こんなもんモロて今のガキは喜ぶんか?」

「とりあえず喜ぶ気持ちにかけましょう宗麟」

「せやな!」



 それからも宗麟とツィタニアはサンタのソリに乗り、日本中を駆け巡った。時間は1秒とて進んでいない。不思議な事に疲れも感じない。

 サンタの仕事をやり終えると宗麟とツィタニアは部室に戻る。



「終わったでサンタさん、まぁまぁおもろい仕事やったわ」

「そうですね! 空飛ぶソリも素敵でした」



 二人の話を聞いてまだ辛そうにしているサンタがほほ笑むと腰をあげて宗麟とツィタニアの手に何かを渡す。



「メリークリスマス!」



 そう言ってソリに乗るとサンタは遠くの空に消えて行った。宗麟とツィタニアがサンタから渡された物を見ると……そこには。



「ペアリング……アホかあのサンタは? なぁ精霊王サマ?」



 真っ赤に顔を染めるツィタニア……それに宗麟の思考が追い付かない。



「これが異世界か?」

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