異世界に行く方法その43

「子供ってどうやって生まれるか知ってるか?」



 それを聞いてツィタニアは赤面する。いきなり、宗麟は何を言い出すのかと……よくよく考えれば宗麟も健康的な男子であり、性というものに対して非常に敏感な年ごろでもあろうとツィタニアは思う。



「何を言ってるんですか……まぁ、その交尾をですねぇ」

「ちがーう! そんなリアルな話を誰もしてへんねん!」

「えぇ! なんで今私怒られましたか?」



 まさかの返しにツィタニアはツッコむ。自分の答えは微塵も間違ってはいないのである。それを完全否定する宗麟。

 そうなれば彼の返答をまとうではないか、というのがツィタニアの考えだ。是非ともツィタニアの回答以外の答えを出してくれるのだろうと……



「よく、子供が親に赤ちゃんはどこからくるの? と聞いたら大抵キャベツ畑から拾ってくるやらコウノトリが運んでくるやら言うねん」

「嗚呼、私の世界ではマンドラゴラの自生地や、レッドドラゴンが運んでくると言いますね」

「最悪やな精霊王サマの世界……まぁ、ええわ。俺達の世界の話に桃太郎っちゅー物語があんねん。桃から生まれた所謂勇者やな? これって、何処からきてん? 異世界ちゃうん? ちゅーことや! そもそも煙の無い所に噂は立たへん。これらは本来異世界から来た連中がそういう場所で見つかってそれが口伝されたっちゅー事は考えられへんか?」

「まぁ、否定はできませんが……違うんじゃないですか?」

「それを我々の目で見に行こうっちゅーことや」



 まずは農園部のキャベツ畑、そこを視察に行く二人だったが、大きく育った旨そうなキャベツを農園部に一つ頂き、見つかったのは巨大なミミズくらいなものだった。



「次は果樹園やな」



 桃の見学をさせて欲しいと言ったら、喜んで中に入れてくれた桃の果樹園オーナー。写真を撮ったりメモを取ったりする宗麟たちを見て熱心な姿勢に感動し、桃をひと箱お土産にもらった。



「コウノトリに関しては東京にいた個体は絶滅、つい最近まで井之頭自然文化公園にもおってんけど、それも死んでもうた……これは部室で動画でも見ながら観察やの!」



 大きなキャベツと桃をひと箱もって二人は部室に戻る。そして無言でキャベツを洗い塩もみして細かく刻む宗麟。ツィタニアは桃を一口大に切りそろえていき、宗麟のキャベツと合わせる。



「即席料理やけど、桃とキャベツのサラダや」

「これは実に美味しそうですね!」



 二人は手を合わせていただきます。そしてツィタニアはこうつぶやいた。



「これらは栄養価が高そうなので、元気な赤ちゃんが生まれるようにという願掛けなのかもしれませんね」

「嗚呼、コウノトリはただの演技担ぎやな」



 二人は当たり前の事を今更学習しながら美味いサラダをその後、無言で平らげた。

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