異世界に行く方法その42

「という事で俺達もラノベを書く事に決まりました!」

「決まりましたと言われても私は物語なんて書いた事ありませんよ?」



 二人の前には原稿用紙とボールペンが置いてある。なんとも言えない空気の中でツィタニアが宗麟のノートパソコンを指さした。



「それで書いた方が早くないですか?」

「はぁ? 小説と言えば紙とペンから始める事が最初だろうが?」



 そう言ってペンを渡されたツィタニアだが、何を書いていいのかてんで分からない。そこでツィタニアはペンを動かす宗麟に聞いてみた。



「どうやって物語を書けばいいんでしょう?」



 それに宗麟はペンを動かす手を止めてからメモ帳にある単語を書いてのけた。



「こそあど言葉っちゅーのがあるんやわ! 所謂起承転結の事やな?」



 誰が、何処で、何を、どうしたか? という事を書くと一文のストーリーが出来上がる。それに宗麟が例文を上げた。



「まぁ、精霊王サマがここに来た事を例にするで? 俺が、部室で、呪文書を使い、精霊王サマが召喚された」



 それにツィタニアは軽く感動する。おぉ! 確かにストーリーが出来上がりましたと……そこで宗麟は次のお話をした。



「で、これらを長くしていくのが所謂物語やな? 起承転結の起は物語のはじまりや! 俺が何の理由があって魔王召喚をしようとしたかって話が入り、起承転結の承。それをする為の準備やらを始めるわけや、起承は前後関係のある最初の導入部やな? で起承転結の転。俺が儀式をはじめると、ほんまに何かが召喚されてしまうという物語における盛り上がりや、で最後が起承転結の結。結果、魔王ではなく精霊王サマが召喚されてしまったというオチにつながるわけやな?」



 二人の出会いをわずか五分くらいでまとめてしまった宗麟にツィタニアは驚いていた。日本人であれば国語の授業で習う単元の一つであるから、面白いか面白くないかは別として物語の創造は容易くできるのだ。



「宗麟凄いです! 見直しましたよ! では私も何か……」



 そこからツィタニアにとっては宗麟によるダメ出しのオンパレード、日本語がおかしい、そもそも小説の体を成してはいない。それが終わると宗麟は話し出した。



「さて、じゃあそろそろキャラクターを作ってプロット作成といこうか?」

「プロットですか?」

「まぁ、ようするにその小説の解体新書だな」



 そこからは沼だった。不眠不休でエナジードリンクと栄養バーで食事を取りながら、ツィタニアと宗麟は小説を書き続けた。

 そしてついに……



「か、完成です」



 二人は口にこそ出さなかったが……この異常なまでの達成感、それをあの作者は言いたかったんだなと、それ異世界違いじゃん! とか思ったけど、やりきった自分をほめたくなり、そして早く寝たかった。

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