異世界に行く方法その40

「やーまーと、さればいざまいらん! じだいのながれにのまれよーともぉー♪」



 宗麟とツィタニアはカラオケボックスに来ている。宗麟が熱唱している中、ツィタニアはタンバリンを鳴らしながらその歌声を聞いている。



「えぇ、宗麟の歌唱力がとっても芸術的であるという事は分かりましたが……今日はここで何をしようと言うのですか?」



 宗麟は指を指した先、カラオケのモニター。それには42点という数字が書かれていた。ツィタニアはカラオケの点数なんて知るよしもなく疑問符が頭に浮かぶ。



「俺の今歌った歌の点数や! 100点満点が最高やな。とりあえず精霊王サマも何か歌ってみ!」

「えぇ! 私、この世界の歌なんて知りませんよ?」



 と言う事も分かっていた宗麟はタブレットとヘッドフォンを見せるとそれをツィタニアに渡してから言った。



「なんか簡単な曲覚えろ! 今回100点という異次元に入ったら、異世界に行けるかもしれない! を実践する」



 ツィタニアはマイクを持つと「あーあー」と何度か声を出してから歌いだした。



「くまのこ見ていたかくれんぼ~!」



 84点。それを見てツィタニアは初めてにしては中々良いラインに到達できたと自身ありげにマイクを宗麟に渡した。



「あのひのぉ~かなぁしみぃさえ~」



 41点。それに宗麟は怪訝な顔をした。



「この機械壊れとんちゃうか? なんで俺の点数が精霊王サマの半分以下やねんボケがっ!」

「宗麟、機械に当たらないでください。単純に宗麟が音痴すぎるんですよぅ!」



 それを言われて宗麟が驚愕の表情をツィタニアに向ける。ツィタニアはまさかという顔をした。もしかしてこの宗麟は自分が歌を歌っている時……



「もしかして、宗麟。歌を歌うのが上手いと思っていたんですか? いつからそう思ってたんですか?」

「……えっ? ちょっと待って……精霊王サマ。俺の思考が全く追い付かへん、俺は今まで通信簿では元気よく歌っていますと、甲とか良とか4とか8とかもらってきたんや! そんな俺が音痴なわけあらへんやろ?」



 何かに恐れているような顔をする宗麟にツィタニアは泣きそうになりながら、下唇を噛み伝えた。



「そこに、宗麟は歌が上手と書かれていましたか?」



 宗麟は疲れたような顔をして……そしてツィタニアにマイクを渡した。



「あとは……任せたわ」



 ツィタニアはマイクを受け取ると今の宗麟に送ってあげる歌を歌った。



「消えない過ちの言い訳する前に~♪」



 そして100点。当然の如く、異世界への扉は開かれない。レモンティーを飲み干すとツィタニアは宗麟にこう言った。



「歌の練習付き合いますよ」



 歌が上手くても異世界には行けない事を宗麟は傷つきながら知った。

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