異世界に行く方法その39

「なぁ、精霊王サマ」

「なんですか宗麟?」



 宗麟が熱い眼差しでツィタニアを見つめる。それにツィタニアははっ! と気づくまさか宗麟が自分の事を……と。



「宗麟、私は全ての世界において美しい精霊王である事は分かりますが……私と貴方では種族も違えば、住む世界も言葉通り違うじゃないですか! ですのでお気持ちは嬉しいですが、ごめんなさい」



 宗麟はそう言って苦笑しながら頭を下げるツィタニアに満面の笑顔を返した。そして手を高く上げるとツィタニアの頭をすぱーんと叩いた。



「ボケェエエエエエ! なんで俺が精霊王サマに惚れた腫れた言わなあかんのじゃああ! 鏡見てこいこの春ボケ精霊王!」



 ツィタニアは宗麟の通う一欄台学園の男子生徒からたまに声をかけられる程度には可愛いのだが……宗麟の美的感覚には合わなかったらしい。



「えっ? そんなにですか……」

「ワレの事はどうでもええねん。そんな事より、魔王っちゅーのはどんな奴なんや? 今回は魔王の力を借りる儀式や!」

「……魔王……ですか?」

「おうよ」



 宗麟はわくわくしながらツィタニアの話を聞いた。そして宗麟が想像していたにたる存在である事。見てくれの恐ろしさ、残酷無比な力とそして阿鼻叫喚の魔王軍、ツィタニアは思い出すだけ震えがくると言う。それに満足しながら宗麟は分厚い本を見せた。



「今回はゴーレム召喚を行いまーす!」



 そう言って宗麟が見せたのは何者かの歯。そして目の前に土を人間の形にまとめた物を用意してみせる。



「その歯はなんですか?」

「俺の親知らず。めっちゃ痛かったわ。これをこの土くれ人形に入れます。で、”心理”という意味の言葉を書いた紙をこの中にぶち込みます。そして異世界よりこのゴーレムに魂が降りてくるので、その瞬間魂がくる時に精霊王サマは異世界に行くわけやな!」



 その話を聞いてツィタニアは待ったをかけた。



「宗麟、ちょっと意味が分かりません。最悪異世界に行けたとしても……わけの分からないところなんじゃないんですか?」



 それに宗麟は指をちっちっちと振る。それになんだかイラっとしたツィタニアだったが……納得する事を宗麟は返した。



「魔王から力を借りてゴーレムを作るねん。という事は行く先は魔王がおるっちゅー事や! どないや? 俺も行って魔王サマの顔拝むでぇ」 

「それは凄い! 是非お願いします」



 ツィタニアは大きな本を開くと目を瞑り、呪文を唱えた。



「エロイムエッサイム……般若心経……カーン!」

「おぉ!」



 声を上げるツィタニアだが何も起きなかった。それを見て宗麟は不敵に笑うと大きな本を閉じて本棚に戻す、代わりに漫画雑誌を取り出すと椅子に座りそれを読みながら宗麟は独り言のようにツィタニアに言った。



「なんも起きんかったな?」



 ゴーレム召喚と共に異世界に行く方法は眉唾とメモに取った。

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