異世界に行く方法その34

「何? こんな東京の街中にある学校内の畑が何者かに狙われている……」



 宗麟とツィタニアは実習で育てているサツマイモとじゃが芋が掘り起こされて荒らされている。それも一か所じゃない……ほぼ全ての実習で作られた畑がダメになっている。



「これは一体……」

「宗麟、さすがに私でも分かるんですが、これはイノシシではないでしょうか?」

「こんな街中にイノシシが出るわけないやろーが!」



 宗麟は厳しそうな顔をする。そのただ事ではない空気の中でツィタニアは宗麟を諭すように話した。



「宗麟、私の世界においても人間が山を開き、そこに居住区を作り、住まう場所。食べ物が無くなったイノシシは人里に降りてきます。恐らく、宗麟たちの世界は山を開く事も建物を建てる事も私の世界より優れているでしょう。ですから、食べ物が少ないと感じた野生のイノシシの仕業ですよ」



 と至極全うな意見をツィタニアが言うと宗麟は何度か頷く。



「……宗麟、分かってくれましたか?」

「あぁ」



 宗麟が珍しく、ツィタニアの言う事を聞いたので一件落着とツィタニアが思ったところで宗麟はこう言った。



「間違いなく異世界からの野菜略奪者や!」

「何故そうなります?」



 二人は畑を荒らす、イノシシ。もとい異世界からの野菜略奪者を待つ事にする。しかし、宗麟がこんな善行を行うわけはない。



「目的はなんですか? 宗麟」

「そら、異世界から来るんやったら異世界とここを繋ぐワームホールがあるハズやろ? そこを通過して異世界に行くんや!」



 そんな夢物語のような事を言う宗麟。今回は宗麟快気祝いという事でツィタニアは付き合ってやろうかと宗麟について行く。放課後、誰もいなくなった畑付近に隠れて待つ宗麟はツィタニアに牛乳と菓子パンを渡す。



「張り込みはあんぱんと牛乳って相場が決まっとんねん!」



 ツィタニアも日本生まれのこのあんぱんを楽しみながらイノシシがそろそろやってくるんだろうなと思って待っていると光り輝く。



「ほら、きよったでぇ!」

「まさか! 本当に異世界から……?」



 その光は動く。そして近づいてきたと思ったら宗麟とツィタニアは目が点になった。そして叫ぶ宗麟。



「何しとんじゃワレぇ!」

「ひぃいい! お許しをぉ」

「異世界の扉はどこじゃああい?」



 胸倉をつかんで宗麟はその人物を振り回す。その人物は「何の事ですかぁ!」と叫び、宗麟に許しを請う。そんな茶番を見ながらツィタニアは宗麟のスマホを使って唯一覚えた番号110に電話をかけた。



「もしもし? ポリスマンですか?」



 都会の畑を荒らすのは野生の動物ではなく……泥棒だったりすると宗麟はメモ帳に記載した。

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