異世界に行く方法その30

宗麟はツィタニアに大きくて太い巨大なリールのついた釣り竿を渡した。



「これも釣り竿なんですか?」

「あぁ、マグロでも一本釣りできる怪魚用のんをバイトして買うた。人間が扱うレベルでは最強クラスの釣り竿。エックスワイゼットカリバーだ。そして餌は近所の用水路で見つけた巨大ミミズを使う」



 仰々しい釣り道具を持って再び釣り堀にやってきた宗麟とツィタニア、二人の周囲の視線は二人に集まった。

 速攻で釣り堀の管理者が走ってくる。



「ちょっとちょっとお客さん! 困りますよ。そんな投げ竿持ち込まれたら」

「じゃかああしい! 今からここの主伝説にピリオドを打ちにきたんや多めにみぃや!」

「そんなの許されるわけないでしょう! ここは一本釣り専用の釣り堀なんですよ」



 ツィタニアも状況を理解する。というかどう考えてもアウトである事は異世界のツィタニアでも分かった。



「ほんま面倒やのぉ」



 宗麟はスマホを取り出すと何処かに電話をかけた。そして電話が終わると宗麟は「ほなよろしゅう」と一言言って電話を切った。

 ルルルルルルルとすぐに釣り堀管理者の携帯が鳴る。そして宗麟以外の釣り堀の客に管理者は声をかけていき、帰らせていく。



「なんでしょう? 何かが起きていますよ」

「ほな、準備しよか? 精霊王サマ」

「先ほど、この釣り竿は……」



 走って釣り堀管理者がやってくると頭を下げて先ほどとはうって変わって態度が豹変した。



「お客様、貸し切りに致しましたので、どうぞ。そのタックルで思う存分お楽しみください!」



 ツィタニアは一体何処に宗麟は電話したのか……



「宗麟何したんですか?」

「ちょっと、言えないとこに電話したの。じゃあ投げるで!」



 魚群探知機を使い、この釣り堀の主を調べる宗麟。そしてそこに巨大なミミズをつけて針落とす。



「丸見えやで主、きたでぇ! 精霊王サマ、手伝い!」

「はい!」



 二人で釣り竿を支える。かなりの引きだが、宗麟が用意した釣り竿も釣り針もハリスも頑丈なそれはびくともしない。力まかせにリールを巻いてその巨大魚を吊り上げた。



「この鱗に模様は……」

「もしかして、本当にドラゴンですか?」



 その黒く、ぬんめりとした巨大な魚を見て宗麟は小さな声でツィタニアに教えた。



「これ、台湾ドジョウ(雷魚)や!」



 外来種のわりと近年に入ってきた魚にごりあく等あるわけがない。宗麟はこのタイワンドジョウをどうするか考えたあげく、釣り堀の管理人に理由を話して引き取ってもらった。リリースされたのか、殺処分されたのかは分からないが、管理人がしばらくの間かば焼きを毎日食べていたとそんな話を宗麟は人づてに聞いた。

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