異世界に行く方法その29

「宗麟、足は大丈夫ですか?」

「いやぁ、全治数週間だとよ」

「それって結構重症じゃないんですか?」



 痛々しいギブスをした宗麟とツィタニアは東京某所の釣り堀にいた。そしてそんな場所で並んで釣りをする。



「らしいけど、俺が病院に入院するタマやと思うか? 無理やろ! ずーっと寝てるとか意味分からへん! という事で逃げ出してきましたぁ!」



 ツィタニアに連絡を取ると病院に来て欲しいと言ってそのままツィタニアに車イスを押させてここまでやってきた。



「しかし、この車いすという物、非常に便利ですね」

「せやなぁ、足が不自由な人からしたらこれが足みたいなもんやし、これ乗ってスポーツする人等もおるから中々のもんやで」



 そして釣り、これに関してはさすがにツィタニアもやった事はないが覚えはあった。そして殆ど自分の知っている道具で行っている。



「この専用の釣り竿はありませんでしたが、木の棒から釣り竿を作ってよく小魚を獲っている妖精達がいましたね。とこで何故釣りを?」



 宗麟は今まで、異世界に行く方法を探索する以外に行動をしたためしがない、彼は今回もまたそうなのだろうとツィタニアは悪い予感がした。



「宗麟、さすがにその足では少し休んでからにしてはどうでしょうか?」

「アホか! 休むてどのみち数週間寝とけ医者に言われてる身体や、そんなもん休まへんのも一緒やろーが!」



 そう言って餌がなくなった釣り針を戻すと宗麟はそこに謎の芋虫をつけて再び釣り堀に投げる。



「宗麟、貴方は不死身ですか?」

「そんなわけあらへんやろ! 人が死ぬも死なへんも偶然や、俺は運命なんちゅーもんは信じへん。だから大けがしようと同じように生活すんねん。いちいちぎゃーぎゃーいうてもしゃーないやろ」



 宗麟の持論に対して、ぐっときてしまったツィタニア。彼は世界こそ違えば王の器があったかもしれないと……が、今は全く関係ない。釣りの最中である。



「今回は何を?」

「釣りは水場と繋がっている。水場は霊的な場所や! という事でここでは二つ。釣りをしながら異世界が開く、不可視境界線を見つける事。そしてもう一つは主。2メートルを越える野鯉。こいつは龍の化身と言われとる。こいつを釣りあげたら願いが叶う言われててな。異世界に行く方法を二つここでは試すでぇ!」



 二人は釣り堀閉館まで粘った。そしてヘビーユーザー達が帰っていく中。ツィタニアは言う。



「宗麟、帰りましょうか?」

「あぁ、うん。帰ろうか……ここでは行方不明者が出たとか一切聞いた事ないし、不可視境界線なんざありゃしねーわな。せやけど、見たやろ?」

「えぇ……主ですね」

「決着は明日や」



 釣り堀に不可視境界線はない!

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