異世界に行く方法その28

「今日は異世界体験をする為にVRゲームをします」

「VRゲームですか?」

「ここが現実ならVRは仮想な。仮想現実世界にダイブする事でその世界の中に入ってもーたとかいう物語も世にはごまんとあるやろ? せやから、今回はVRゲームにて異世界気分を感じていたらいつのまにか異世界に行ってもーてました。これでいくで」



何やら腑に落ちない点も多々あるが、ツィタニアも少しばかりこのVRという物には興味があった。



「実はゲーム世界の中にいて、実際の身体はもうないとか、そういう漫画かアニメをこの前一緒に見ましたねぇ!」

「という事で、一緒にレッツプレイングや!」



 ヘッドギアのようなモニターをつけて二人はゲームをプレイする。目の前には広がるダンジョン。そして隣にはプレイヤーである宗麟とツィタニア。



「精霊王サマ、手だし!」

「手ですか? こうですか?」



 ツィタニアが手を出すと宗麟はツィタニアに何か道具を手渡した。



「薬草的な何かや! ダメージを受けたらそれ使って回復しいや」

「これもまた、あれですね。食べているのか何なのか分からないけれども体力回復する謎の草!」

「精霊王サマ、ほんまに異世界から来た人か? えらいその辺事情通やんけ!」



 それもそうである。宗麟が持ってきたメディアやゲーム等しかツィタニアが情報を得れる物は存在しない。おのずと知識が偏るのだ。



「そりゃそうでしょう。あなたはこの世界の成り立ちも政についても何も教えてはくれないのですから……それよりこのダンジョンを進んでみましょう!」



 ノリノリで二人は進んでいく。教室を出て廊下を歩く二人。外から見ると異常な行動に出ている宗麟とツィタニアだったが、校内でも有名な変人である二人である。他の生徒は気にもしない。



「も、モンスターや! 精霊王サマ、回復頼むでぇ!」



 そう言って宗麟は目の前に現れたモンスターに剣で攻撃を仕掛ける。モンスターを倒し、二人は経験値を得てレベルアップ。



「お次はドラゴンや! やべぇ! おもしれぇ!」

「いかにドラゴンと言えども私の防護魔法の前には通しませんよ!」



 などと二人はポーズを決めて仮想世界の敵と戦う。

 VR上のドラゴンは炎のブレスを吐く。それに飲まれて宗麟はおののいた!



「うわぁああリアル!」



 そして宗麟の姿が視界から消えた。ツィタニアもかれこれ長らく日本にいるわけで、異世界転生の作品も沢山齧ってきた。



「まさか……今のドラゴンブレスで、私ではなく宗麟が異世界に転生してしまったのですか?」



 ツィタニアはゴーグルを外すと……



「そ、そーりーん!」



 足が変な方向に曲がって気絶している。異世界ではなく、冥界に行きかけている宗麟を抱えてツィタニアは保健室に走る。

 VRゲームでは異世界に行けないが、死後の世界には行けるかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます