異世界に行く方法その27

「まぁ、今回宗麟が何をしたいのか大体わかりましたが……このバナナという果物。恐ろしいくらい美味しいですねぇ!」

「そらぁ、お前。叩き売りされていたとかで、一本百円やったらしいからの。今や一房百円で買う事もできる庶民の果物バナナや」



 ツィタニアは、宗麟と共に生活する事でアニメや漫画、さらにはあまり何が面白いのか分からないお笑い番組等でこの果物バナナの皮が度々登場する事を知っていたが、たまに宗麟と街中に出てもこの皮が落ちているという状況を見た事がない。

 宗麟は三十本程のバナナの房を近所の直売場で購入してきたので、ツィタニアと二人でせっせとこれを今食べている。



「バナナは美味いけど、この足の速さも一品やからな」

「この果物走るんですか?」

「ちゃうちゃう! 腐るのが早いっちゅー事や」

「成程、面白い表現ですね。しかし、このバナナ。美味しいですが、少し飽きてきました」

「そういうと思ってこんな物を用意してみました」



 そう言って宗麟が持ってきたのは水筒。一般的に飲み物を入れる容器であり、宗麟が持ってきた物も例に外れず飲み物が入っている。



「さぁさ一杯!」



 とろりとした液体がコップの中に注がれるので、ツィタニアはお酒かと思って目を瞑ってそれを飲む。



「冷たっ! そして、これはまた美味しいですね! なんですかこれ?」

「今、精霊王サマと俺がせっせと食うてるバナナで作ったジュースや。ここで作り方を教えまーす!」



 バナナ3本の皮をむいて、ジップロックの中に入れる。そして冷凍庫でかちんかちんになるまで凍らせる。この際、細かく切っていると尚よい。そしてアーモンドを10粒程砕いておく。

 最後に牛乳200ml。牛乳瓶一本分と一緒にミキサーにぶち込んで混ぜる。大体2分程混ぜれば完全に液状化し、精霊王ツィタニアを唸らせたバナナジュースが完成する。缶詰のミカンを入れると喫茶店の伝家の宝刀。ミックスジュースにも変身できる兵である。



「ちゅーことや!」

「宗麟は誰に言ってるんですか? ですが、このバナナジュースは実に美味しいです」

「そかそか、ところで精霊王サマ、そとにバケツ置いてんねんけどちょーとってくれへんか? 戻すの忘れててん」

「全く、宗麟はおっちょこちょいですね!」



 宗麟はおっちょこちょいなんて死語以外の何物でもないだろうと思いながら、これからツィタニアに訪れる事実を想像した。



「うわっ! バナナの皮じゃないですか! なんてベタな! あぁあああ!」



 滑って行った。宗麟は毎度毎度、ツィタニアは主人公級に、様々な手に引っかかってくれるなと思う。そして異世界に行ったかと、バナナジュースを飲んでいると、怒りに自我を失ったゾンビのようなツィタニアが戻ってきた。



「オーケー! 精霊王サマ。話し合おう!」

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