異世界に行く方法その26

「そ、宗麟」

「皆まで言うな精霊王サマ。今回、今までで一番可能性の高い方法を偶然知ってしまった。ここまではええな?」



 前回勢いだけで作ったペットボトルロケットがどっかに行ってしまった事を異世界に行ってしまったと仮定した二人。そしてこの方法を有人化すれば異世界に行けるのではないかと、常人であれば1mmも考えない事をしようとしているのである。宗麟とツィタニアは学校中の運動部を走り回り2Lのペットボトルをかき集めた。



「野球とサッカー部のアクエリアスのペットボトルが多いのは分かんねん! なんで文芸部がこないに2Lペット多いのか謎の学校やのここは、まぁええけど」



 宗麟とツィタニアはかき集めてきたペットボトルを接着剤でつなげていく。



「薄くやで! 接着剤多すぎると浮力が殺されるからの」



 ホワイトボードに表示したツィタニアのマル秘体重をペットボトルロケットで浮かせる為に必要な数500本。

 街中までせっせと二人は集めて回る。時折アルミ缶を集める屈強な戦士達とのいざこざもあったが、学生という事もあり、実験に使うと言えばどこの家庭も喜んで提供してくれた。

 それらを同時発射させる為の装置作りを宗麟とツィタニアはホワイトボードに計算式を書き日夜かんがえ、三百本の土台、二百本のブースター、そして五十本ずつを背中とお腹側にとりつけた実際より百本多い状態でサターンロケット式に飛ぶ事を考えた。



「宗麟、私は宗麟の世界を普通に尊敬し、驚いています。普通にできない事をできる方法を考えるこの姿勢……私も魔法が使えなくなってはじめてそのすごさを目の当たりにしています」

「……あぁ」



 もう言葉はいらないと言った風に宗麟は最初の土台を完成させた。続いて二連目のブースター制作。暇を持て余した美術部や他運動部も手伝ってくれて大幅に作業時間を時短させ、最後にはツィタニアが背負い抱えるロケット装置の制作。

 そしてついにそれらは完成する。完成の喜びで皆抱き合う。その装置を運動場の真ん中に持っていくとセッティング開始。一段目の上に二段目、そして二段目の上にツィタニアが乗るとロケット装置を背負い抱える。



「精霊王サマ、最初のボタン押して浮かび上がったと思った3秒後に2つ目のボタンや、そしてその三秒後に最後のボタン。それが、この世界と……俺との別れだ」

「宗麟、貴方の事は忘れません」

「嗚呼、じゃあな親友」



 ツィタニアの目に光る物が……

 そして大勢が見守る中、ツィタニアは一段目のボタンを押す。浮かび上がる身体。そして二段目、さらに最後。



「さようなら! 宗麟、皆さん!」



 下からは大きな歓声が上がる。

 おぉ! といったもの……そして。



「え?」



 十メートル程浮かび上がったが、そのままツィタニアは落下してくる。そして宗麟は宗麟とツィタニア以外は実験に成功したと思っている手伝ってくれた生徒達が抱き合っている中、メモ帳にこう記載した。

 そもそも、ペットボトルロケットで飛べるわけがない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます