異世界に行く方法その25

「かーんぱーい!」

「えぇ、かんぱい……これ前にもありませんでしたか?」

「あぁ、トイレから異世界転生にとかいう間抜けなやつね」



 以前の作戦の一つを間抜けと言ってのける。たらふく水分を取って尿意を催し、トイレに籠る時間を長くする事でトイレから異世界転生をしようと言う常軌を逸脱した作戦。



「あれのせいで、しばらくトイレが近かったんですからねぇ!」



 宗麟はコーラを自分のグラスに注ぐとそれをくいっと飲み干した。



「精霊王サマ、俺はね? 炭酸飲料だとコーラが一番好きなんや。こうしゅわしゅわってさ、これが喉を通る瞬間、俺の業とかそういうものが許されていくような気分になるんや」



 そう言いながらヤバい薬でもやるように宗麟はコーラをぐびぐびと飲む。ツィタニアは嫌な予感しかしないこの空気の中で宗麟が小さな500mlのペットボトルを取り出すと手動で何かポンプする。



「また、何をしているんですか宗麟?」

「まぁ見てみ。ただの水道水が炭酸水に代わるんや。んでこのペットボトルを振ると」



 ペットボトルがパンパンに膨れる。

 そしてそれをツィタニアに渡した。



「その蓋開けてみぃ」

「はぁ……」



 何も知らずにツィタニアはペットボトルの蓋を外すとそれは噴き出した。ぷしゅーとその水は全てツィタニアの顔に水がかかる。



「うわっぷ! なんですか、これわぁ!」



 水浸しになったツィタニアに宗麟はタオルを投げた。それを受け取るとツィタニアは顔を拭いて怒ろうとする。



「そーりーん!」

「まぁ怒りなや。これを沢山集めて精霊王サマを飛ばそうと思ってんねんから、ここから空を飛んでいけば異世界にぶっ飛べるんじゃねーかとな」

「こんな物で空なんて飛べるわけないでしょうーに!」



 そのツィタニアの見解に対して宗麟は馬鹿にしたように大笑いをした。



「ぎゃはははははは! 精霊王サマは本当に物を知らんのぉ! こいつは飛ぶでぇ、空をなぁ! まずはこの動画をご覧ください」



 ペットボトルロケットを飛ばすYOUTUBE動画を見せる。それが空高くに飛んでいく動画にツィタニアは魅入られた。



「う、美しい。これが飛ぶんですか? したい! 宗麟、私も飛ばしたいです!」

「よし、精霊王サマはそういうと思ったわ! じゃあ作ろうぜ俺達の異世界転生号をな」



 二人は寝る間も惜しんで、ペットボトルロケット作成を頑張った。羽の角度、空気をどれだけいれ、水をどれだけ入れるのか……

 そして屈折28時間。



「完成した」

「飛ばしましょう宗麟!」

「あぁ、行こう異世界へ」



 二人は運動場にペットボトルロケットと空気入れを改造した発射装置を持っていく。そして空気を注入。宗麟はカウントを開始した。



「3・2・1・精霊王サマ、ごぉ!」



 精霊王ツィタニアは発射させる。二人の労力の結晶は空高く昇っていく。計算通りの軌道を描き、それは空に消えた。

 落ちてこない。



「うせやん! 異世界転生しよった。いける。精霊王サマ、いけるでぇ!」



 ペットボトルロケット単体では……異世界転生が成功?

 と宗麟はメモを取った。

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