異世界に行く方法その24

「はい、という事で秋葉原のドンキに来たわけだが、せっかくだし、精霊王サマ、アキバTシャツでも買うていくか?」

「アキバTシャツですか?」

「あれや、あれ!」



 文字の記載された白地Tシャツが沢山置いてあるので精霊王ツィタニアはその中の一枚を取った。



「では私はこれを」

「ほんま安いよな? 真夏に秋葉原に遊びに来て大汗かいた時、俺はここでようこのアキバTシャツ買って着とるで、じゃあ俺はこれにしよかな。化粧室で着替えて再開や!」



 宗麟は『印税生活』。ツィタニアは『塩対応』。この普通に考えれば、いやこの魔の都である秋葉原でなければこんなクソダサいTシャツを着て街中を歩くだなんて事は宗麟もツィタニアもしなかっただろう。



「これを着て、何をするんですか? また以前食べにいったどんぶり物を食べに行くのですか?」



 以前大食いをしに行った店を思い出した宗麟はツィタニアを連れて、一件の揚げ物専門のお店に入った。



「好きな物を食ってくれや」

「いいんですか? ではこのメンチカツの物を頂きます」



 ツィタニアが大きく口をあけてもふもふとメンチカツ定食を食べ終えるのを待って宗麟はツィタニアに話し出した。



「俺がドンキで購入したんはこのクソダサいTシャツだけやあらへん! こいつや、鼻毛を根こそぎ処理するブラジリアンワックス、GOSSOや!」



 コンとテーブルにそれを置く宗麟。ツィタニアはそのほぼ立方体の箱を持ちあげてまじまじと見つめる。



「なんですこれ? 食べ物ですか?」

「まぁ、あれやとりあえずそれ食ったら部室に戻るで?」



 ゆっくりとメンチカツ定食を楽しんだツィタニアは満足そうにお腹をさすってから重い腰を上げた。



「では行きましょう」



 そう、ツィタニアの満足は部室に帰るまでだった。部室に帰るやいなや宗麟はGOSSOの箱の中身を取り出した。電子レンジでシリコンを溶かすとアイスクリームの棒のような物をその中に入れかき混ぜた。



「なんですかクリームですか?」

「いんや? これを精霊王サマの鼻の穴に突っ込むんや」

「成程! え? はぁ? 嫌ですよっ! ゴブリンの拷問でももう少しマシですよ! 頭沸いてるんですか宗麟?」



 宗麟はツィタニアの話を聞く事もなく両方の鼻にズボっとぶち込んだ。



「ぎゃあああああ! 熱……くないですねぇ。でもやめてくださいよ! あれ? 抜けない……抜けませんよこれ……もしかしてこれ固まってませんか?」



 その通り、ブラジリアンワックスは鼻の中で固まる。そしてそれを勢いよく引っ張る。



「そりゃああ!」

「ふぇひゃああ!」



 宗麟は勢いよく両方の棒を引き抜き、そしてその先端についた精霊王ツィタニアの……



「おう、精霊王サマ結構鼻毛……ぐぇ!」



 ツィタニアは宗麟を思いっきり殴った。



「なんですかこれは!」

「痛さで死んでもうて、異世界てんせーってなるんちゃうかなーって……ちょう、そんな怒らんと……いやマジで怖いって」



 勝手に他人にブラジリアンワックスを使うと自分が異世界転生させられるかもしれないと宗麟はメモ帳に記載した。

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