異世界に行く方法その23

「ハァハァハァ……そう……りん、これ……は?」



 ランニングシューズにランニングウェアを着てツィタニアは時速10キロ程のランニングを宗麟と並び走っている。



「いや……まぁ……きけ……」



 宗麟は今朝方新聞を読みながら、ある事に驚いていた。



「フルマラソン、二時間切っとるやとぉおお!」



 という驚き、これは公式記録ではない、但しこの選手公式記録でも二時間三分なるすさまじい記録をたたき出した。

 これは、色々な環境を整え記録を取りにいったのだろうと思われるがそれでも凄い。東京から千葉まで走って一時間半で到着すると言えば相当速い事がお分かりになるだろう。

 そんな事に興奮している宗麟だが、残念ながらマラソンをする趣味もなければ走りが得意でもない。



「よし、精霊王サマ、いこか?」

「行くってどこにですか?」



 宗麟に連れられて陸上部へと来た宗麟は陸上部員達に話をして、ランニングを始めてみたいと伝えた。すると陸上部は快く承諾。



「そう、陸上。とくにマラソンをする人達は異常なくらい仲間意識が強いんや! 謎や! 皇居まわりを走ってるランナーは皆ええ人や」



 練習用のウェアに練習用のランニングシューズまで貸してくれ、さらにはスマホとの連動アプリも教えてくれた。スマホが落ちないように装着するベルトをつけて二人は皇居まで行く。



「皇居周辺は東京一のランニングスポットや! じゃあここで」



 今に至る。



「ハァハァハァ……いみが……わからないです……」

「マラソン……には……ランナー、ズ……ハイっちゅーのが……あんねん」



 ランナーズハイ、長時間マラソンを続けた一部の人が感じられる解放感、快楽感らしいがその実は謎。恐らく痛みや苦しみに対して脳内麻薬の分泌が起こっているのではないかと考えられている現象である。



「これは……呪術も……薬も……つかわん……トリップ方法……や」



 そう、宗麟は今回ランナーズハイをもってして異世界に行こうというのである。精霊王ツィタニアも宗麟も体力が人並み以下であり、次々にランナー達に追い抜かれていくなかヘロヘロの状態で走り続ける。



「も……もう……だめぇ~」



 ツィタニアは脱落してその場に座り込む。それを横目に宗麟はここまできたのだ。走り切ってやると……ランニングを続ける。

 そして奇跡が起きた。

 宗麟の目の前に広がる光景は黄金のように光り輝いていた。そして痛みも苦しみもない。これが……これがある種異世界転生。



「ランナーズハイやぁ!」



 いくらでも走れる。そう思った時、宗麟は休んで水を飲んでいるツィタニアを見て思い出す。



「ワレがハイにならなあかんねんボケぇ! というかランナーズハイは気持ちええけど、異世界なんぞ行かれるかカスぅ!」



 ランナーズハイで異世界転生ができるかはご自身でお試しください。

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