異世界に行く方法その22

「よし、精霊王サマ。サイゼリヤにミラノ風ドリア食べに行くで!」



 精霊王ツィタニアはサイゼリヤという場所を思い出す。色々な料理が出てくる食事どころ、宗麟曰く、ファミレスと呼ばれるそこ。



「いいですね! 真イカとアンチョビのピザをまた食べたいものですよ!」

「タバスコめっちゃかけてな!」



 アハハ、ウフフと笑いながら二人は学校の門を出る。その時、宗麟が飛び出そうとするツィタニアに向かって大声で叫ぶ。



「アカン! 精霊王サマ、危ないでぇ!」



 急にそう言われ、ツィタニアは立ち止まる。



「ななななな、なんですか?」

「見てみぃ! そこ、影があらへん。落ちたら……死ぬ」

「そんなわけ……」



 ツィタニアはそう言うが、宗麟は遠くを指さす。ランドセルを背負った小学生達。その子供たちが同じように陽の当たった場所を踏まずに進んでいる。



「俺が言うだけやと、そら信用できへんわな? でもあないに純真なじゃり共が日向踏まへんねん! 分かるやろ? アカンねん! 踏んだら即死や。せやけど、日陰を駆使してサイゼリヤに行けば、俺らは異世界に行けるかもしれへん。この願掛けを今日は試みる」



 宗麟がそういうのでツィタニアは宗麟に尋ねた。



「そんな危険な方法を……宗麟、貴方は死ぬ事が怖くないんですか?」

「精霊王サマは俺の数少ない友人や! その友人を元の世界に帰す為なら火の中、槍の中や! 行くでぇ!」



 助走をつけて宗麟は大ジャンプ。そして手を差し出す。



「捕まれ精霊王サマ!」

「分かりました宗麟!」



 二人は確実に日陰を使い走っていくサイゼリヤまでなんとかこのまま進めるんじゃないかとそう思われた時だった。

 十メートルは先まで日が……ここまでかとツィタニアがそう思った時だった。宗麟は上着を脱ぐ。

 そして笑った。



「精霊王サマ、ミラノ風ドリア楽しんできてや!」

「宗麟、何をするつもりですか!」



 宗麟は届くハズのない向こう側に向かってジャンプ。すかさず叫んだ。

「俺の影を踏んで、飛べぇえええ! 精霊王サマぁああ! 俺の屍を越えてサイゼリヤへぇえ!」

「分かりましたとも宗麟! いきます」



 ツィタニアは宗麟の影を踏み、そしてそこから向こう側の日陰へ……着地。



「やりました宗麟……え?」



 宗麟は日向を普通にテクテクと歩いてやってくる。そして向こう側にあるサイゼリヤへと入っていった。



「えっ? なにこれ?」



 遠くで先ほどツィタニア達と同じ事をしていた小学生達は石ころを蹴りながら下校している姿を見て、やっぱり何をしているのか理解できなかった。

 当然、こんな方法では異世界に行けるハズもなく、ツィタニアはとりあえずミラノ風ドリアを食べようと宗麟に続いて店内に入った。

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