異世界に行く方法その21

「で? 説明頂けるのでしょうか?」



 先ほどまでキャンプ飯に舌鼓を打ち、星空なんかを見ながら苦行に打ちひしがれていたのに次は訳の分からないトンネルにやってきた。



「精霊王サマ、キャンプっていうとカレーに恋バナに肝試しと相場は決まっているやろーが! それが日本の古き良きキャンプっちゅーもんやな」



 並々ならぬ偏った意見を聞きながらツィタニアは頷く。

「成程、カレーライスは先ほど美味しく頂かせていただきましたが、その恋バナとやらは私はまだしていませんが?」



 宗麟は笑う。



「あたりまえだろ、万年モテない俺と精霊王サマに恋バナ云々なんてあるわけないやろ!」



 成程と頷きそうになったが、ツィタニアは宗麟に待ったをかけた。当然である。何故か自分もモテないカテゴリーに入れられているのだ。



「ちょっと待ってください宗麟! おかしいです! 宗麟がモテないというのは分かります。ですが、私がモテないというのはどういう事ですか!」

「いや、魔法も使われへん、大ぐらいのペッポコ精霊王とか役に立たない上に存在理由すら俺にはわからんわ」

「ちょっと! ちょっとちょっとぉおお! 私は元の世界ではしっかり魔法が使えますし、数々の種族にプロポーズされてきた実績がですねぇ!」

「という大げさな事を仰っておりますが……」



 きーと怒るツィタニアの話をあしらいながら目的のトンネルを指さす。その不気味さや中々のもの。



「宗麟、ここボスダンジョンか何かじゃないんですか?」

「ゲームのしすぎや精霊王サマ、ここにボスはおるかしらんけど……ここにはこんな話があるんじゃよ!」

「なんですかその喋り方は?」



 トンネルの中に入りながら宗麟は語る。このトンネルに肝試しにやってきた大学生カップル。車で入って外に出てあたりを写真でも撮りながら過ごしていると、彼女の方がある事に気づいた。



「ねぇ……タケシ、体。薄くなってるよ? ってな? その彼氏のタケシは彼女を見て同じ事を返すんだ。お前も薄くなってる……」

「ぎゃあああ! 消えてるじゃないですか! あっ、それが異世界転生ですか?」



 そして宗麟は突然喋るのをやめて、じっとツィタニアを見つめる。その反応にツィタニアは焦る。



「えっ? もしかして私」

「うすく……なってへんな!」

「でしょうね。だって宗麟の語るそのお話。おかしいじゃないですか」



 ツィタニアが突っ込んだその宗麟のお話。宗麟は気づかれたかと苦笑する。宗麟の話は少し矛盾があるのだ。



「誰がそれ見てたんですか!」

「デスヨネー! じゃあそろそろテントに帰りましょうか!」



 そう言った宗麟だったが、ちょうど目の前には大学生カップルらしい二人が車でやってきていた。それを宗麟とツィタニアは遠くから見つめる。突如、彼氏の方が彼女に指さして何かを、彼女の方もまた……結果を見ずに宗麟とツィタニアはくるりと振り返り全力ダッシュ。



「ねぇ、宗麟。目撃者ってもしかして……」

「いや、知らん。俺はなんも知らん」



 トンネルの中で異世界に行く事はできるかもしれない。

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